米作家ピート・ハミルの死から1年、妻・青木冨貴子がつづるハミルの声と「真実」
THE PETE HAMILL WAY
仕事が大好きでよく働き、メキシコのほかダブリン、パリ、ローマ、パレルモなど2人で旅したり、短期間滞在した。元気だったピートも、2014年3月には急性腎炎から心拍停止を起こし昏睡状態に陥ったが、奇跡的に生還した。
このとき両腰の複雑骨折が見つかっていたため車椅子で帰宅すると、ブルックリンへ帰りたいと言い始めた。2万冊を超える蔵書やファイルのほか、病人を抱えての引っ越しは考えるだけでうんざりだったが、生まれ故郷へ戻ってブルックリンの本を書きたいというピートの熱意にノーとは言えなくなった。
ブルックリンに引っ越したのは16年夏、それからちょうど4年後に自宅前で転倒、右腰を骨折して手術が必要になった。ニューヨークではコロナが蔓延して連日数百人が死亡していた20年のこの時期、目に見えるように弱ってきていたピートには手術に耐えられるだけの体力がなかった。3日後の8月5日早朝、息を引き取った。
現在、私の手元には彼が書き始めたブルックリンの本の草稿やアウトライン(全体の構想)、大量の資料や本が残されている。その草稿に目を通してみると、初めて会ったあの日の彼の声が聞こえてくるようだ。メコンデルタの戦闘で何人の死傷者が出たとか、どこの村が爆撃でやられたというニュースは「事実」であるかもしれないが、それが自分にとって大切な「真実」なのだろうかと問い掛けたあの声だ。
彼はブルックリンで育った当時とその街をもう一度書くことで、自分にとって大切な真実を記そうとしたが、未完に終わったのはいかにも残念だったに違いない。しかし、ブルックリンで最期を迎えたいと言う希望どおり、生まれたメソジスト病院で死去。今ではブルックリンのグリーンウッド墓地に眠る。
本の舞台になるはずだったアパートのある通りは誕生日の6月24日、「ピート・ハミル・ウェイ」と命名された。

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