最新記事

米人種問題

死体に手錠をかける警察の驚くべき実態

通行人が撮影した映像が公開され、警察の行き過ぎた行為が明らかに

2015年4月9日(木)15時30分
レオン・ナイファク

動かぬ証拠 逃げるスコットにスレーガーが発砲する映像が公開され、スレーガーは殺人容疑で訴追された HANDOUT via Reuters

 問題の映像は目を覆いたくなるようなものだ――。

 先週サウスカロライナ州で、丸腰の黒人男性ウォルター・スコットが白人警官マイケル・スレーガーに射殺される事件が発生したが、今週通行人が撮影していた事件現場の映像が公開された。

 スレーガーは逃げるスコットに8回発砲。スコットは地面にうつ伏せに倒れる。スレーガーは近づきながら、何度か「手を後ろに回せ」と叫び、スコットの横にしゃがんで手を後ろに回して手錠をかける。その後にスレーガーがスコットの近くにスタンガンらしきものを落とす様子も映っている。

 まったく抵抗できない状態になった被疑者に手錠をかける行為はあまりに非人間的で、見ていて吐き気を催す。しかし、撃たれた被疑者に手錠をかけるのは警察の標準的な手順だ。7日夜に警察関係者に取材したところ、被疑者を撃つことも逮捕の一形態とみなされ、どんな形であれ逮捕したら手錠をかけるよう警官は訓練されていると説明された。

 一般読者向け科学雑誌サイエンス・オブ・アスのライター、ジェシー・シンガルは、昨年セントルイスのコンビニエンスストアでエネルギー飲料と菓子パンを盗んだ精神疾患の男性が警官に射殺された事件について、すでに死亡した被疑者に手錠をかける行為は「遺体を冒涜する行為のように感じられる」と書いた。

 しかし、シンガルが引用している警察官向けの雑誌「ポリス・チーフ」に掲載された指針をみると、被疑者が死んだと思われる場合でも、起き上がって攻撃することがあるため、警察官の身を守るために手錠をかけることになっているようだ。

「撃たれた被疑者に手錠をかけることに抵抗を感じる警察官もいるだろうし、『明らかに』死んでいるような場合、手錠をかける行為は不必要だと思うかもしれない」と、元ロサンゼルスのパトロール警官で、ミズーリ大学セントルイス校で犯罪学を教えるデービッド・クリンガーは述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英CPI、食品価格データ収集で2月から新手法 若干

ビジネス

米アマゾン、全世界で1.6万人削減 過剰雇用是正と

ビジネス

ドルの基軸通貨としての役割、市場が疑問視も 独当局

ワールド

ロシア軍がキーウ攻撃、2人死亡 オデーサも連夜被害
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    「恐ろしい...」キリバスの孤島で「体が制御不能」に…
  • 9
    「発生確率100%のパンデミック」専門家が「がん」を…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中