最新記事

インターネット

旅やレストランの口コミ、どこまで信じますか

トリップアドバイザーの虚偽情報が問題になっている。一流大学の研究者が事実に反する書き込みを見抜くコツをアドバイス

2015年2月27日(金)13時03分
イスマト・サラ・マングラ

玉石混交 利用者の生の声が聞けるのは便利だが……(トリップアドバイザーのウェブサイト) Daniel Acker/Bloomberg via Getty Images

「トリップアドバイザー」はホテルやレストラン、観光名所に関する口コミが集まる有名なウェブサイト。多くの旅行者が行き先選びの参考にしている。

 だがこのサイト、情報の信頼性には問題があるかもしれない。イタリアの競争当局は昨年12月、トリップアドバイザーに対し、虚偽の口コミ情報の流布を防止できなかったとして50万ユーロの罰金の支払いを命じた。当局によれば、ホテルなどへの批判的な口コミの中に、実際に利用していない人が書き込んだ可能性のあるものがあったという。

 だがトリップアドバイザーは「この裁定に合理性はないと考え、その事実認定に強く反対する」との声明を出し、当局の判断に異議を唱えている。

 どちらの言い分が正しいかはさておき、ネットにおける口コミやレビューの信頼性の問題は以前から指摘されてきた。

 ハーバード大学とボストン大学の研究によれば、店舗などの口コミサイト「イエルプ」のレビューの20%近くは虚偽の内容を含む。イリノイ大学の研究では、ネット上のレビューの30%はでっち上げの可能性がある。

 それでも「消費者の意見は絶対に正しい」という意識は根強い。最近の調査では、ネットの口コミ情報を知り合いからのおすすめと同じくらい信用している、と答えた人は88%に上った。 旅行ともなれば、偽のレビューを信じたせいで大金をどぶに捨ててしまう可能性もある。だが専門家によれば、偽物と本物のレビューを見分ける手掛かりはいくつかあるという。

■ホテルより書き手の行動や家族についての記述が多い レビューに含まれる剽窃や嘘を検出するソフトウエアを開発したコーネル大学の研究チームによれば、本物のレビューではホテルそのものについて細かく記述される傾向があるのに対し、偽のレビューには書き手の家族や行動のことばかり書いてあることが多いという。これはもっともらしく感じのいいレビューに見せ掛けるための手だ。

■大げさな感情表現や褒め言葉 ネット上のレビューから虚偽や「さくら」を見つける研究を行っているイリノイ大学のビン・リウ教授によれば、偽のレビューには大げさな表現が多い。「これまでで一番」といった表現を見つけたら要注意だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午後3時のドルは146円後半へ上昇、トランプ関税で

ビジネス

アングル:超長期金利再び不安定化、海外勢が参院選注

ワールド

日米韓が合同訓練、B52爆撃機参加 3カ国制服組ト

ビジネス

上海の規制当局、ステーブルコイン巡る戦略的対応検討
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中