最新記事

アメリカ大統領選

ロムニー大統領はアジア市場の敵?

米株式市場ではロムニーに期待する声が高まっているが、アジアの投資家たちは危機感を募らせている

2012年11月5日(月)15時38分
アンスヤ・ハルジャニ

危ない兆し 量的緩和政策を批判し、FRB議長の交代も主張しているロムニー Brian Snyder-Reuters

 11月6日のアメリカ大統領選で、どちらの候補が勝ったらビジネスに有益か----世界の市場では今、そんな分析や予測が飛び交っている。

 アメリカの投資戦略家は、共和党のミット・ロムニー候補が勝てば株式市場にプラスだとみている。経営者出身のロムニーは、これまでビジネス界寄りの立場をとってきたからだ。

 一方、ロムニーが勝利しては困るという面々もいる。アジアの投資家たちだ。

「アジアのトレーダーたちは、指導者が変わることを好まない。ロムニーが勝てば、株価は下がるだろう。ロムニーが来年1月にやってくる『財政の崖』をうまく乗り切れるか、みんな疑っているからだ」と、IGマーケッツ証券シンガポールのマーケティング戦略家、ジャスティン・ハーパーは言う。「その点、オバマのほうがまだ安心だ。さまざまな不安定要素がある中でも、少なくとも政治の継続性は保たれる」

 ロムニーの中国に対する姿勢も心配でならないと、ハーパーは言う。ロムニーは、大統領になったら中国を「為替操作国」に認定すると宣言している。そうなれば米中関係が一層悪化しかねない。

 アメリカが中国に人民元の価値をもっと上げるよう迫れば、アジア各国の通貨も価値が押し上げられる。そうなれば、輸出に頼るアジア各国の競争力は低下すると、クレディ・アグリコルCIB香港でグローバル外国為替戦略部門を率いるミテュル・コテチャは指摘する。アジアの通貨は米ドルよりも人民元の相関性が高いと、コテチャは言う。

長期的にみてもマイナス

 長期的にみても、ロムニー政権は市場に悪影響を及ぼすとみる向きもある。ロムニーは、市場のリスク選好度を高める原動力となっている景気刺激策に積極的ではないからだ。

 ロムニーの側近は、9月にFRB(米連邦準備理事会)が実施を決定した量的緩和第3弾(QE3)はまったく効果がないと発言したと、シティグループのアジア取引ストラテジー責任者、モハメド・アパブハイは指摘する。「副大統領候補のポール・ライアンもQE3は必要ないと主張している」

 ロムニーは量的緩和政策(QE)を推し進めてきたベン・バーナンキFRB議長についても、14年1月に任期が切れたら再任しないと発言している。アナリストたちは、次のFRB議長はバーナンキのような穏健派ではない人物になるとみている。

 とはいえ、オバマが勝ったとしても、投資家が大喜びするわけではない。「オバマが勝っても、市場が大きく反応することはないと思う。相変わらず同じような取引が行われるだけだ」と、AMPキャピタル・インベスターズの投資戦略責任者シェーン・オリバーは語る。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、外交失敗ならイラン戦闘再開の用意 国防長官「決

ワールド

北朝鮮、6─8日に戦術弾道ミサイルの弾頭実験など実

ビジネス

米国株式市場=大幅上昇、主要3指数が2%超高 米イ

ワールド

イスラエル、レバノンに大規模攻撃 ヒズボラは停戦合
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 2
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライナ軍司令官 ロシア軍「⁠春の​攻勢」は継続
  • 3
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命防衛隊と消耗戦に
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 6
    キッチンスポンジ使用の思いがけない環境負荷...マイ…
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 9
    アメリカとイランが2週間の停戦で合意...ホルムズ海…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始めた限界
  • 3
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐせ・ワースト1
  • 4
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    米軍が兵器を太平洋から中東に大移動、対中抑止に空白
  • 9
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 10
    「高市しぐさ」の問題は「媚び」だけか?...異形の「…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中