最新記事

アメリカ政治

オバマ温暖化対策に巻き返しはあるか

2010年9月1日(水)18時26分
ダニエル・ストーン(ワシントン支局)

中間選挙後に共和党が態度を変える?

 環境保護派の悪意に満ちた批判に晒されてしてきた共和党に言わせれば、それは無理な話だ。たとえば、「大手石油企業の手先」と度々非難されてきたリサ・マーコウスキ上院議員。環境保護団体は以前、議員会館に横断幕を掲げ、マーコウスキが石油会社と癒着していると訴えた。

「今までずっと、私たちの考えは無視され、さげすまれてきた」と、マーコウスキが幹部を務める上院エネルギー・自然資源委員会の広報担当、ロバート・ディロンは言う。「環境保護派がすり寄ってきても、受け入れる気持ちにはなれない」
 
 ただし、上院エネルギー・自然資源委員会で超党派ですでに可決されている「全米クリーン・エネルギー指導力法案」については、協力を惜しまないと発言する共和党の中核議員も複数いる(エネルギーの効率化と再生可能エネルギーの開発を推奨する法案だが、温室効果ガス排出規制には触れていない)。

 誰もが同意するのは、11月の中間選挙が終われば、法案が政治的要素に左右されにくくなるという点だ。中間選挙後に共和党が方針を変える可能性もある。「気候問題は本来、党派色とは無縁のはずなのに、中間選挙がらみの政治に操られている」と、ブルーグリーン・アライアンスのフォスターは言う。

 共和党は中間選挙まで、あらゆる法案を阻止する決意を固めているし、ホワイトハウスは議会の「死に体」期間に重要法案を扱いたくないと考えている。温暖化対策を進めるために最善の処方箋は、じっと待つことなのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:カジノ産業に賭けるスリランカ、統合型リゾ

ワールド

米、パレスチナ指導者アッバス議長にビザ発給せず 国

ワールド

トランプ関税の大半違法、米控訴裁が判断 「完全な災

ビジネス

アングル:中国、高齢者市場に活路 「シルバー経済」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 2
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 3
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 8
    「体を動かすと頭が冴える」は気のせいじゃなかった⋯…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中