集塵機のフィルターを、「ネコギギ」布製コースターにアップサイクルした深い理由
2024年4月、新東工業は「SINTO取引先ガイドライン」を公表し、サプライチェーン全体での取り組みとして「生物多様性への配慮」を明記した。同社執行役員の河口佳徳氏は、こうした取り組みの「次」を、こう語る。
「『そもそも経済活動ができるのは、健全な生物多様性があってこそ』という認識です。TNFDについても、当然やっていかねばならないこととして、取り組みを深化させていきます」
一方、久保氏は、今後の企業戦略のカギは「感情」にあると指摘する。
「性能や価格での差別化が難しいこの時代に、企業にとっていちばん大事なことは『好きになってもらうこと』だと思います。この会社が好きだと、心が動かされるからこそ、選んでもらえるのです」
近藤氏の強い想いから始まり、企業や自然観察指導員、クリエイターなど異分野の専門家が協働することによって、地域性と啓発性に富んだコースターは生まれた。自然との共生を語る上で、報告書や数値目標だけでなく、人の心を動かす「物語」をいかにして生み出せるか。
このプロジェクトは、モデルケースのひとつとなるだろう。
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[筆者]
瀬戸義章(作家・ライター)
1983年生まれ。神奈川県川崎市出身。長崎大学環境科学部卒業。物流会社でリユース事業に携わった後、フリーに。著書に『「ゴミ」を知れば経済が分かる』(PHP研究所)、『雑草ラジオ──狭くて自由なメディアで地域を変える、アマチュアたちの物語』(英治出版)など





