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考古学

幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見つかった、定説を覆しかねない大発見とは?

Archaeologists Reveal 3,500-Year-Old ‘City of Seven Ravines’

2025年11月19日(水)17時50分
イアン・ランドール(科学担当)
カザフスタンの草原地帯

カザフスタンの草原地帯 Sergey Dudikov-shutterstock

<カザフスタンには広大な草原が広がっており、昔から多くの遊牧民が暮らしているが>

カザフスタンの草原地帯で発見された、3500年前の失われた古代都市。考古学者たちは、この都市遺跡に熱視線を送っている。

【動画】草原の古代都市の遺跡の正体は? 発掘された出土品は?

この青銅器時代の失われた都市の遺跡はカザフスタン北東部、イルティシュ川を見下ろす岩棚の上に位置している。


遺跡自体は2000年代初頭に発見されていたが、この遺跡に対する初の本格的な調査が行われた。

結果、この集落は、大規模な青銅生産の拠点だった可能性があることが示された。遊牧民がこの地域で定住生活へと移行した過程に対する理解を覆す発見となったのだ。

この都市の名は「七つの峡谷」を意味する「セミヤルカ」という。都市の周囲に広がる複数の峡谷にちなんで名付けられた。

研究者たちによると、セミヤルカは地域の権力拠点であると同時に、交易の中心地でもあった可能性がある。

「これは、この地域におけるここ数十年で、最も注目すべき考古学的発見の一つだ」と、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の考古冶金学者、ミリャナ・ラディボイェビッチは語る。

この集落は、ステップ地帯の半遊牧民が初めて恒久的な都市に定住し始めた重要な時期に築かれたものだ。

「セミヤルカは、草原社会に対して、これまでの我々の理解を一変させる。移動性の高いコミュニティであっても、大規模な産業を中核とする恒久的かつ組織的な定住地を築き、維持していたのだ。まさに草原における『都市の核』だ」

【参考文献】

Radivojević, M., Lawrence, D., Merz, V. K., Merz, I. V., Demidkova, E., Woolston-Houshold, M., Villis, R., & Brown, P. J. (2025). A major city of the Kazakh Steppe? Investigating Semiyarka's Bronze Age legacy. Antiquity.

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