脱炭素に向けた「東北初」の試みとは? ごみ収集車のCO2排出量削減を目指す、宮城衛生環境公社の本気度
次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用した宮城衛生環境公社のごみ収集車
<環境分野において「先進的、独自的でかつ業界をリードする」企業が認定される「エコ・ファースト企業」。株式会社宮城衛生環境公社は、北海道・東北エリアで初となる認定を受けた企業だ。脱炭素経営を掲げる同社が特に注力している、ごみ収集車のCO2排出量削減の取り組みとは>
世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。
ごみ収集車の温室効果ガス排出削減を目指して
株式会社宮城衛生環境公社は、ごみ収集や産業廃棄物の処分、貯水槽や排水管の清掃などの事業を行う仙台市の企業だ。使用済みの製品や不用品を扱う、いわゆる「静脈産業」企業である同社は、成長戦略として「脱炭素経営」を掲げ、脱炭素化に向けたさまざまな取り組みを展開している。
その意図について、代表取締役の砂金英輝氏は「SDGsや地球温暖化問題は政府や大企業だけの問題ではなく、社会の一員として全ての企業ができることを行うことが大切だと思っています。当社はSDGsアクション、脱炭素経営に取り組むことで、静脈産業への偏見を払拭し、業界全体の印象の改善を図り、それがひいては社員の社会的地位の向上につながるとともに明るい未来へ寄与するものになると信じています」と話す。
同社が特に力を入れている取り組みの一つが、ごみ収集車を含む車両から排出される温室効果ガスの削減だ。ごみ収集車などの特装車は、あらゆる装備を搭載しているため非常に重量がある。そこにごみを積んでいくため、軽油やガソリンといった化石燃料を大量に消費することになり、結果として多量の温室効果ガスを排出してしまう。
そこで、同社では2020年から全てのごみ収集車にごみ集積所の位置等が入力されたタブレット端末を導入。収集ルートを最適化することで消費燃料の低減を図っている。この取り組みによって、経験や勘に頼らないルート計画や人員配置が可能になったことで業務が改善され、残業時間の抑制にもつながっているという。
軽油に代わる持続可能な燃料「サステオ」
同社は22年にSBT(中小企業版、*)の認証を取得した。このとき、社内の温室効果ガス排出量はごみ収集車からのものが圧倒的に多いことが可視化されたことで、さらなる取り組みの必要性が明らかになり、近年ではEV(電気自動車)やFCV(燃料電池自動車)への転換の検討も始めている。
*SBT:Science Based Targets(科学に基づく目標)の略称で、パリ協定が求める水準で企業が設定する中長期的な温室効果ガスの削減目標。宮城衛生環境公社は、2030年までに基準年(2018年)からマイナス30%を目標に掲げている
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