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1日1回飲むだけ...肥満治療の次世代薬オルフォグリプロンの効果、副作用は【最新研究】

Daily Pill Promises ‘Significant’ Weight Loss Without Jabs

2025年9月25日(木)15時25分
ハンナ・ミリントン(ヘルス担当記者)
経口薬

写真はイメージです Kmpzzz-shutterstock

<9カ国・地域の成人3000人を対象とした臨床試験の結果、「顕著な」体重減少に効果を示したことが明らかになった>

肥満を薬で治療する時代が訪れつつある。GLP-1経口薬の一種であるオルフォグリプロン(orforglipron)が、1日に1回飲むだけで、肥満患者の「顕著な」体重減少に効果を示したことが明らかになった。

約3000人の成人を対象とした多国籍臨床試験では、72週間のオルフォグリプロン投与によって、用量に応じ、最大11.2%の体重減少が確認された。副作用は他のGLP-1薬と同程度だった。

オルフォグリプロンは、セマグルチド(semaglutide)――糖尿病治療薬「オゼンピック(Ozempic)」や、減量目的で使用される「ウゴービー(Wegovy)」――と同じ受容体に作用する。

ただし、食事や水分摂取のタイミングに制限があるセマグルチドの錠剤と異なり、オルフォグリプロンは食事や水分の制限なく服用が可能だ。

「72週間の治療後、オルフォグリプロンを投与された3グループすべてで、有意かつ臨床的に意味のある体重減少が認められた」と研究者らは声明で述べている。

この研究は製薬大手イーライリリーがスポンサーとなり、今週ウィーンで開催された欧州糖尿病学会(EASD)年次総会で発表された。経口薬による減量治療の実現に向けて、大きな可能性を示す結果だ。多くの患者は注射剤よりも飲み薬を好むだろう。

「これは低分子GLP-1薬として、初の第3相試験の完了例だ」と、研究責任者であるウォートン体重管理クリニック(Wharton Weight Management Clinic)のショーン・ウォートン医師は本誌の取材に語った。

経口セマグルチドは高分子だが、オルフォグリプロンは低分子で、経口による服薬が可能なGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体作動薬だ。「この錠剤は、製造、服用、流通が容易だ」とウォートンは言う。

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