最新記事
BOOKS

まるで落語「なんでこんなモノ持ってきた?」...変わり者たちの秘密基地、国立民族学博物館の舞台裏【民博特集1/4】

2025年9月29日(月)10時30分
ミンパクチャン

「音楽」展示場に行けば、世界の太鼓、世界のギターのブツ量に圧倒され、人はなぜ歌ったり踊ったりするんだろうと考えさせられる。また、バリ島の魔女・ランダ様(本書カバーにも登場!)と聖獣バロンは、写真にも映えてとりわけ大人気だが、その迫力たっぷりの姿に「また来たよ」と挨拶したくなる。

そして、森の奥からやって来たハイエナだというザンビアの巨大なニャウ・ヨレンバ。その展示パネルに「仮面」と書いてあるのを見るたび、「仮面というか、着ぐるみやん......」と毎度つっこんでしまう。ルーマニアの「陽気な墓」に刻まれた、その人の生前の姿とキャッチーな紹介文を読んでいると、自分も死んだらあんなふうに面白おかしく紹介されたい、と思う。


とにかくいろんな物がある。が、持ってくるとき苦労はないのだろうか? 「東南アジア」展示場に建立された上座部仏教の寺院を見ながら、つい思いを馳せた。こんな重そうな台座、いったいどうやって運んできたんや?

とうとう船を買っちゃった研究者

インド洋の交易を研究している鈴木英明先生は、最近船を買い、民博に持ってきたという。ムテペと呼ばれアラビア海やインド洋で活躍した伝統的な帆船であるダウ船の一種で、釘を使わずにつくる縫合船だ。コンテナに入るギリギリの大きさだが、5メートルほどの小さな船である。鈴木先生はカタログを見せながら説明してくれた。

「ここに載っているのが、東アフリカの海岸沿いで活躍していたムテペです。普通の船よりは平たくつくられています。東アフリカの沿岸部にはマングローブがたくさん生い茂っていて浅瀬になっているから、そこに突っかからないようにしてあるんです」

説明する鈴木先生は、よほどダウ船が好きらしい。うっとりとした表情で雄弁に語る。

「それで、とうとう買ったんですよ、船を。本当は展示のために買ったんですが、到着が間に合わず、ですね......いまはようやく着きました。収蔵庫にあります」 

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪首相、戦争の経済ショックは数カ月継続と警告 公共

ワールド

ユーロ圏はすでに逆境、インフレ波及22年よりも急速

ワールド

再送-〔焦点〕テック銘柄の「安全資産」神話揺らぐ、

ワールド

アングル:緊迫のホルムズ海峡、インドLPG船は別航
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 5
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 6
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 7
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中