最新記事
認知症

認知症を防ぐ8つの食材、避けたい意外な食品──専門医が語る「食の選び方」

2025年7月3日(木)16時43分
白澤 卓二(白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長)*PRESIDENT Onlineからの転載

脳の毒を出す食材8 緑茶・コーヒー

健康長寿には緑茶とコーヒー

緑茶にはホモシステインを抑制する作用があります。酸化したホモシステインはアミロイドβの毒性を増加するので、緑茶の強力な抗酸化作用は認知症予防に役立ちます。

東北大学医学部の研究では、70歳以上の高齢者約1000人を対象とした研究で、緑茶を1日2杯以上飲んでいるグループは、認知機能の低下が少なかったそうです。

 


また、緑茶に含まれているカテキンには、細胞のがん化を抑える、動脈硬化を予防するなど、さまざまな効果が確認されています。

コーヒーもまた、細胞のがん化を抑制、血糖値の上昇をゆるやかにする、認知機能の低下を予防するといった報告があります。

欧州で約700人を10年間追跡調査したところ、コーヒーを1日に3杯飲む人は、認知機能の低下がもっとも少なかったそうです。4杯以上では逆効果という報告もあるので、飲み過ぎないようにしましょう。

毒を入れないためにグルテン&添加物フリー

腸の炎症を招くグルテン

グルテンとは、小麦に含まれるタンパク質です。グルテンは欧米人に多い、セリアック病、グルテン過敏症などを引き起こすため、欧米では「グルテンは有害」という認識が広がりつつあります。アメリカでは人口の約5%がグルテンに敏感という報告がありますが、日本人はもっと少ないとされています。

ただ、私は日本人にも多いだろうと感じています。それは、私のクリニックで抗体検査を受けた患者さんの、約半数がグルテンに対する抗体を持っているからです。

グルテンの抗体を持っていると、体はグルテンを「これは毒だ! 攻撃対象だ!」と認識して攻撃します。グルテンの抗体を持っている人にとって、グルテンを含む食品はすべて毒になります。

グルテンの抗体を持っている人が小麦を食べると、全身で炎症が起きます。特に影響を受けるのが大腸の粘膜です。炎症がひどくなると食べ物の消化・吸収がうまくできなくなって、さまざまな不調におそわれてしまいます。認知機能にも影響を与えるでしょう。

さらに、グルテンが体内で分解されると、麻薬のような働きを持つ物質に変化します。中毒性がありますから、大好きで食べるのをやめられない、という人も少なくないでしょう。これもグルテンの困った点です。

こうしたグルテンの弊害を知った10年以上前から、私はパンを食べていません。食べたいなと思うことはありますが、知識が邪魔をして食べられないのです。

私が代表をつとめる群馬県・館林の介護付き有料老人ホーム「Residence of Hope 館林」でも、グルテンフリーを宣言し、徹底してグルテンを排除しています。

中毒から抜け出すのはつらいかもしれませんが、1〜2週間程度食べるのをやめてみてください。中毒から抜け出せば、以前ほど食べたいという欲求におそわれなくなります。

グルテンを食べ続ける限り、体内の炎症は悪化します。「体に毒だ」ということを肝に銘じて、思い切ってグルテン断ちすることが、認知症予防になります。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

パキスタンとアフガン、即時停戦に合意

ワールド

台湾国民党、新主席に鄭麗文氏 防衛費増額に反対

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中