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認知症

認知症を防ぐ8つの食材、避けたい意外な食品──専門医が語る「食の選び方」

2025年7月3日(木)16時43分
白澤 卓二(白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長)*PRESIDENT Onlineからの転載

脳の毒を出す食材4 ルッコラ

おいしいだけじゃない解毒野菜

ごまのような風味や、食べたときのピリリとした辛さがおいしいと人気のハーブです。日本で食べられるようになったのは最近で、ピザにのせたり、生ハムに合わせたり、サラダにしてそのまま食べたりします。

ルッコラの辛みの元はグルコシノレートという成分で、肝臓の解毒機能を助けます。葉酸も多く含まれているので、認知機能の低下をもたらすホモシステインの無毒化を促してくれます。

 


また、キャベツと同様、アブラナ科の植物なのでイソチオシアネートも含まれていて、ダブルのデトックス効果があります。

肝臓の働きが活性化すると、体内に有毒な物質がたまりにくくなります。複数の解毒効果のあるルッコラは、アルツハイマー病の予防や改善に役立ちます。スーパーなどでも販売され、手に入れやすくなりました。ぜひ活用しましょう。

脳の毒を出す食材5 きのこ

排便は最大のデトックス

有毒物質や代謝で発生した老廃物を体外に排泄するシステムのなかで、もっとも大きな役割を担っているのが排便です。便秘がちな人は、体内に有害物質がたまりやすく、アルツハイマー病のリスクが高くなります。

便秘の改善に役立つのが、きのこに多く含まれている食物繊維です。食物繊維をたくさんとると、蠕動運動が活発になって便通がよくなりますし、有害物質もより多く排出されます。また、食物繊維を多く含むものは噛みごたえがあります。よく噛んで食べることは認知症予防や動脈硬化予防に役立つので、その意味でもきのこはおすすめです。

もうひとつ、きのこで注目されているのがエルゴチオネインです。記憶力や集中力を高める効果があり、神経細胞を増やすという報告もあります。きのこ全般に含まれていますが、突出して多いのが、鮮やかな黄色いきのこタモギタケです。

脳の毒を出す食材6 しょうが

血流がよくなれば解毒もアップ

アルツハイマー病の要因のひとつに「脳の血流が悪い」という報告があります。体内の有害物質は、血液とともに肝臓に送られて無害なものに分解され、腎臓や腸に送られて、尿や便として体外に排泄されます。

脳の血流が悪くなると、有害物質の排泄がうまくできなくなり、アルツハイマー病のリスクが高まるのでしょう。

しょうがの血流をよくする働きは、デトックスに一役買っています。また、しょうがに含まれる、ショウガオールやジンゲロールなどの辛み成分には、強い抗炎症作用があり、動脈硬化の予防にも役立ちます。

最近、インドネシア原産のジャワしょうがに含まれるバングレンという成分に、脳の海馬の神経細胞を増やす作用があることがわかり、注目を集めています。徳島文理大学の研究グループは、バングレンの摂取で軽度認知障害の改善が期待できると報告しています。

脳の毒を出す食材7 にんにく

強いにおいは強力な殺菌成分

にんにくの独特の強いにおいは、アリシンというイオウ化合物によるものです。アリシンには強力な殺菌作用があり、体内のカビや病原菌を殺してくれます。

カビや病原菌が体内にいると、それらが出す毒素や慢性的な炎症で、脳がダメージを受けます。にんにくはそのリスクを下げるのに一役買ってくれます。

また、アリシンには代謝をスムーズにするビタミンB1を助ける働きもあります。糖の代謝に欠かせないビタミンB1は体外に排出されやすいのですが、アリシンとビタミンB1が結びつくと、体内に長くとどまるアリチアミンという物質になって、ビタミンB1の吸収率を高めます。

アルツハイマー病の患者さんは、ビタミンB1が不足しているケースが多く、ビタミンB1を摂取すると症状が改善したという報告もあります。

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