「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道で自然を楽しむ新しい休日のカタチ
山頂を目指さなければいい
登山には、たいてい著名なメインルートがある。例をひとつ挙げてみよう。山梨県の北部に大菩薩嶺という山がある。稜線は開けていて眺めが良く気持ち良く、子どもでも軽々と登れるほどに歩きやすくコースタイムも短く、たいへん人気のある山だ。日本百名山にも入っているので、登山者の数は非常に多い。
この山に登るメインルートは、マイカーか路線バスで山麓のロッヂ長兵衛まで入り、そこから福ちゃん荘という山小屋を経て大菩薩峠まで上がり、頂上を経て唐松尾根をぐるりとまわって福ちゃん荘に戻ってくるというものだ。春から秋にかけての週末となると、このコースは登山者でぎっしりと埋めつくされる。
わたしは大菩薩嶺に登るときは、このルートをちょっとずらす。ロッヂ長兵衛のメインルートの登山口とは別に、ロッジから下っていく登山道がある。このあまり踏まれていない登山道を下ると、大回りして、石丸峠というところを経由した別ルートで大菩薩峠に行くことができるのだ。メインルートが稜線まで標準コースタイム一時間一〇分ほどに対して、こっちのルートは二時間一〇分と一時間余計にかかる。そのかわりにひとけは少なく、美しい森の中をたどって稜線へと向かうことができる。
とはいえ稜線に出て大菩薩峠に至ると、これまでの静かなルートとは一変してものすごい登山者の数に驚かされる。春秋の良いシーズンに大菩薩嶺に行くということ自体が、そもそもあまり良くない選択ではないか。そこでルートを変更するだけでなく、そもそもの山を変更して人の少ない場所に行くという方法もある。
そんなことが可能だろうか?
可能だ。山頂を目指さなければいいのである。
官能的な山道を歩く
大菩薩嶺という山域だったら、多くの登山者の目的は日本百名山である大菩薩嶺の山頂に立つということにある(とはいえこの山頂は、樹林に囲まれて何の展望もない地点で何も楽しくない)。最初から「山頂に立つ」という目的を放棄してしまえば、ルートのとりかたには無限の可能性が拓けてくるのだ。
もう一度繰り返すが、フラット登山の目的は山頂に立つことではない。官能的な山道を歩くことにあるのだ。
大菩薩嶺で言えば、ロッヂ長兵衛から石丸峠へと大回りし、そこから混雑している大菩薩嶺に向かうのではなく、山頂に背を向けて牛ノ寝通りという長い稜線に足を踏みいれるという選択がある。ゆっくりと東へ下っていく長い尾根道で、歩きやすいうえに人の姿はほとんどない。東に下りきれば、小菅の湯という静かな日帰り温泉があり、奥多摩駅や大月駅などに向かう路線バスも出ている。
この牛ノ寝通りはとても官能度が高く、おまけに混雑度はとても低い。こういう選択肢を探し求めることが、フラット登山の醍醐味なのである。
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