加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果

victorious_fit-pixabay
<「サルコペニア」と呼ばれる筋力量の減少は老化の一部にすぎない...運動と薬の組み合わせが、筋肉と寿命に与える影響が明らかになってきた>
長寿遺伝子発見者による、最新研究と衝撃の提言書『SuperAgers スーパーエイジャー 老化は治療できる』(CEメディアハウス)の第8章「時計を止める」より一部編集・抜粋。
重要なのは寿命(ライフスパン)ではなく、健康寿命(ヘルススパン)...。
運動は生涯にわたって大切なものだが、年を取ると筋肉や機能が衰えやすくなるので、さらに重要になってくる。筋力、身体能力、歩行速度が、機能を測定するのによく用いられている。
「サルコペニア」と呼ばれる深刻な筋肉量の減少は、高齢者にときどき見られる加齢性の変化である。
筋肉量は40代まで比較的維持されるが、その後しだいに減っていく。老化の生物学的作用を観察すると、筋肉量の減少が起きるのは、加齢とともに失った筋肉を補うだけの新しい筋肉細胞を作らなくなるためだとわかる。
筋肉量の減少も心配だが、筋力の低下はもっと大きな問題だ。筋力の低下は、筋肉そのものの質によることも、血管や神経の変化によることもある。
この変化は、古くなった神経系が筋肉を動かす命令を伝えられないときや、酸素や栄養が足りないときに起こる。
だが判定するのは簡単ではない。人は年を取るとたいてい運動しなくなって全体的に活動が減るし、いつもすわっていることも、加齢による筋力の低下や筋肉量の減少の原因になるからだ。
放置していると、筋肉量の減少によって身体能力が落ちて、階段の上り、歩行、椅子からの立ち上がりが難しくなる。そのため転倒のリスクが高まり、体が不自由になったり、長期医療が必要になったりすることがある。筋肉量の減少は代謝にも良くない。