加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
筋肉量が減りはじめる年齢とほぼ同じころに2型糖尿病が増えてくる。筋肉は体の糖分のほとんどをグリコーゲンとして貯蔵しているため、インスリン感受性を保つもっとも重要な臓器だ。
インスリン抵抗性(インスリン感受性が低下し、インスリンの作用が十分に発揮できない状態)は2型糖尿病のおもな症状である。
そのうえ、年を取ってもふつうは食習慣を変えないので、活動が減ってくると、カロリーを消費するかわりに脂肪が蓄積されやすい。
運動+メトホルミン
メトホルミン(2型糖尿病の治療に使われる内服薬)でわかっている魅力のひとつは、寿命を延ばすAMPキナーゼを活性化しつつ、寿命を縮めるmTOR(mammalian target of rapamycin:エムトア)を抑えることだ。
この有益な相互作用をさらに詳しく調べるため、友人で協力者であるケンタッキー大学の老年学者シャーロット・ピーターソンが、NIH(アメリカ国立衛生研究所)出資による研究を行った。研究では、2つのグループの高齢者が14週間、同じ量の筋力トレーニングをした。
期間中、1つのグループはメトホルミンを飲み、もう1つのグループは偽薬を飲んだ。シャーロットの仮説は、運動もメトホルミンもAMPキナーゼを活性化させるので、相乗作用で効果が増すだろうというものだった。
驚いたことに、どちらのグループも筋力と筋肉の質が臨床的に非常に向上したが、メトホルミンは運動のメリットをいくらか妨げたらしく、とくに筋肉量の増加を抑えたようだった。