最新記事
メンタルヘルス

自然の中を90分歩くだけで「うつ」が減少...おススメは朝、五感を刺激する「ウォーキング・セラピー」とは?

2025年3月15日(土)09時40分
ジョナサン・ホーバン(臨床心理士)
ウォーキング

Fotorech-pixabay

<ウォーキングをすると、「幸福ホルモン」と言われるエンドルフィンとともに、オキシトシンが分泌されて体内をめぐるため、すぐに効果を感じることができる>

散歩は最古の運動法。「野性の本能」を取り戻す。歩くことで「内なる野性」を目覚めさせ、五感を活性化させる。

今、大注目の「ウォーキング・セラピー」第一人者ジョナサン・ホーバンによる心と体を取り戻す方法。ウォーキング・セラピー ストレス・不安・うつ・悪習慣を自分で断ち切る(CCCメディアハウス)より「はじめに」を一部抜粋。


 
◇ ◇ ◇

一日の大半を職場で過ごし、それ以外の時間も仕事のことが頭から離れない生活を送っていると、ストレスホルモンの異名を持つ「コルチゾール」の分泌量が高まります。

強いストレス状態が続くと、判断ミスを犯す、全体像を見失う、苛立ち、不安、うつ、精神疾患、アドレナリン依存症(スリルや興奮を追い求めずにはいられない状態。酒やドラッグといった外的要因の他に、ストレスが高まったときにもアドレナリンの分泌が増える)など、さまざまなトラブルにつながります。

そんなとき、私たちの体は容赦ないストレスと必死に戦いながら、「戦うか、逃げるか、固まるか」という究極の選択にさらされ続けます。そのうちに自分と他者の間にあるべき境界線の感覚は完全に失われ、人間という動物が大事にケアされるべき存在だということも忘れてしまいます。

一言で言えば、私たちは自分自身を見殺しにしてきたのです。

ウォーキングをすると、「幸福ホルモン」と言われるエンドルフィンとともに、このオキシトシンが分泌されて体内をめぐるため、すぐに効果を感じることができます。

実際、2015年にスタンフォード大学ウッズ環境研究所(カリフォルニア州)が行った調査では、自然の中を90分間歩いた人は、うつに関連する脳の部位の活動が減少していました(*1)。

つまり、自然の中で体を動かすことで気分がよくなり、ストレスが軽減し、物事をクリアに考えたり、思考と感情を整理する時間と余裕が生まれるのです。

深刻な問題を抱えているときに、ウォーキングが解決の突破口となるケースは多々あります。判断に迷ったときに「散歩に行こう!」と思い立ち、いい解決策が見つかったり、頭がすっきりした経験のある人は多いのではないでしょうか。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道

ワールド

英4月製造業PMI改定値は45.4、米関税懸念で輸

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中