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ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性【最新研究】

Common Vegetable May Help Treat Diabetes

2025年3月1日(土)08時55分
ハティ・ウィルモス
ニンジン

anaterate-pixabay

<インスリンの働きを高めるだけでなく、炎症を抑える効果も。また、他の野菜も期待できる>

南デンマーク大学(SDU)の研究チームが糖尿病のマウスを対象に調査。その結果、ニンジンを食べることで血糖値の調整や腸内環境の改善し、2型糖尿病の予防や治療に役立つ可能性があるという最新研究を発表した。

「ニンジンは腸内フローラ(腸内細菌叢)を改善し、短鎖脂肪酸(short-chain fatty acids、SCFAs)の生成を促進する細菌を増やします」と本誌に語ったのは、研究を主導した南デンマーク大学のラース・ポルスキャー・クリステンセン教授だ。


 

クリステンセン教授によると、短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解することで生成される。

それは血糖値の調節や腸内環境の改善、免疫システムの強化に役立ち、さらにはオゼンピックなど糖尿病治療薬に含まれるホルモンであるGLP-1(ジーエルピーワン/グルカゴン様ペプチド-1)の分泌を促す可能性もあるという。

さらにニンジンに含まれる「ファルカリノール(Falcarinol)」や「ファルカリンジオール(Falcarindiol) 」といった生理活性物質も注目に値するとして、クリステンセン教授は次のように指摘する。

「これらは細胞の糖質の吸収を助け、インスリンの働きを高めるだけでなく、炎症を抑える効果もあります」

糖尿病患者は、インスリンやメトホルミンなどの処方薬を服用しながらニンジンを取り入れることで、さらに健康状態の改善が期待できるとして、ニンジンが既存の糖尿病治療を補完する方法になり得ると研究チームは結論づけている。

本研究では、高脂肪食を与えられた不健康な生活習慣のある、糖尿病を持つ54匹のマウスを対象に実験を行った。

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