最新記事
健康

ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性【最新研究】

Common Vegetable May Help Treat Diabetes

2025年3月1日(土)08時55分
ハティ・ウィルモス

16週間にわたり、一方のグループにはフリーズドライのニンジン粉末を含む食事を、もう一方のグループにはニンジン抜きで同等のカロリーの食事を与えた。

その後、マウスに糖を摂取させたところ、ニンジンを摂取したマウスのほうが血糖値のコントロール能力が高いことが確認された。また、腸内細菌のバランスも改善し、短鎖脂肪酸を生成する有益な細菌が増加していることも判明した。


 

研究プロジェクトのコーディネーターであるモーテン・コベアック・ラーセン准教授は次のように説明する。

「ニンジンを摂取したマウスは、腸内細菌の組成が変化し、より健康的な腸内環境が形成されました。食事は腸内細菌の構成に影響を与えます。ニンジンを食べることで、腸内環境が健康的なバランスへとシフトしたのです」

また、ニンジンと同じセリ科(Apiaceae)に属するパセリ、セロリ、パースニップ(白ニンジン)にも、同様の生理活性物質が含まれており、同じような健康効果が期待できるという。

特に、紫ニンジンなどの特定の品種や、生もしくは軽く加熱した状態のニンジンには、より高濃度の生理活性成分が含まれている可能性があると指摘する。

「今回の研究では、ニンジンが2型糖尿病に及ぼす影響を動物実験で示しました。次のステップは、ヒトを対象にした臨床試験を進めることです」とクリステンセン教授は語る。

本研究はオーデンセ大学病院研究基金の支援を受け、「臨床とトランスレーショナルサイエンス(Clinical and Translational Science)」誌に2024年12月に掲載された。

【参考文献】
Kobaek-Larsen, M., Maschek, S., Hansborg Kolstrup, S., Højlung, K., Nielsen, D. S., Hansen, A. K., Christensen, L. P. (2024). Effect of carrot intake on glucose tolerance, microbiota, and gene expression in a type 2 diabetes mouse model, Clinical and Translational Science, 17(12): e70090.

ニューズウィーク日本版 脳寿命を延ばす20の習慣
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月28日号(10月21日発売)は「脳寿命を延ばす20の習慣」特集。高齢者医療専門家・和田秀樹医師が説く、脳の健康を保ち認知症を予防する日々の行動と心がけ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:自動車業界がレアアース確保に躍起、中国の

ワールド

アングル:特産品は高麗人参、米中貿易戦争がウィスコ

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 2
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 10
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中