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動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「20歳若返る」日常の習慣

2025年2月17日(月)17時07分
高田 明和 (浜松医科大学名誉教授、医学博士)*PRESIDENT Onlineからの転載

大声で読経は若返りの特効薬になる

さらに、無心で掃除をすることも、心を癒やす大きな効果があります。拭き掃除などの反復運動は、脳内に「幸せホルモン」の異名を持つセロトニンを放出させます。また、部屋がきれいになれば、自己肯定感も高まります。

掃除による心理的効果は、禅の修行でも認められていますね。

「作務」といって、ひたすらお坊さんがお寺をきれいに掃除していますが、どうしたら効率よく塵が取れるかなどを考えながら体を動かすことは、修行と心身の健康維持と、衛生管理という実益を兼ねた一石三鳥の習慣でしょう。


さらに「運動」は、必ずしも手や足を動かすことばかりではないことも覚えておいてください。体は動かしていないのに、意外と筋肉を使っている──そんな人間の活動に、たとえば「声を出すこと」があります。

声を出すと、それなりのエネルギーが消費されますし、それ以上に腹筋や胸筋の筋膜が緊張したり緩んだりするので、筋肉の硬化を防ぐ効果も期待できます。

とくに腹筋や胸筋は体の中心にある筋膜ですから、ここを緩めると年寄りじみた動きがなくなり、若々しい印象を与えるようになります。

ということは、散歩をしたりストレッチをしたりするだけでなく、カラオケで歌うことだって十分に体にいいのです。私はなかなかカラオケに行く機会がありませんが、現在は大声で読経をしています。これだって若返りの特効薬になるでしょう。

試す価値のある心地いいこと

そのほかのおすすめの運動や筋肉強化法について、試す価値のあるものをいくつか述べておきましょう。

① 世界から注目を集めている「ヨガ」

今、世界の医学界がアンチエイジング法として大注目しているのが「ヨガ」です。よく紹介されるのは、「老化による筋肉の硬化を防いでくれる方法」としてであり、日本以上に海外でブームになりつつあるようです。

ただ、ヨガにも初心者向けから高度な技術を要求するポーズまでさまざまな難易度と、バリエーションがあり、本格的にやるとなったら、それなりの練習をして習得する必要があります。

地域の体験教室などもありますから、いろいろなレベルのものを試して自分にあったヨガを見つけましょう。

② 脚だけ逆立ち

「ヨガ」でも実践されていますが、両手と頭を地面につけて3点で体を支える逆立ちの効能が、今、医学会でも唱えられています。

逆立ちをすると、普段あまり経験しない刺激を体に与えることで、リンパの流れも刺激されてよくなり、精神力が高まるともいわれています。

また、逆立ちは、いつもは血流が少ない部分にまで血液が行く効果があります。とくに脳に送られる血液量が増すことで、体が活性化するのは確かでしょう。

ただし、逆立ちは一人でやって、ひっくり返ったら大ケガのもととなりかねません。必ず指導者の管理のもとで行なってください。

実際、血流の面からだけなら、壁際で仰向けに床の上に寝転び、お尻を上に上げ、足を壁につけて心臓より高い位置にする体勢になることだけで、安全を確保したうえで、同じ効果が十分に得られます。

名づけて「脚だけ逆立ち」。頭より高いところに足をつけて、そのままゆっくり5つ数えて元の状態に戻ります。

次の図表1を参考にしながら、決して無理をせずに、簡単にできることから、徐々に試していってください。

newsweekjp20250214110502-b496d905bcf361be0668c986c2f81973efac78c8.jpg

出所=『20歳若返る習慣

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