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夢を見るのが遅いと危険?...加齢と「レム睡眠」の関係が示す、脳の病気の「初期兆候」【最新研究】

Early Sign of Alzheimer’s

2025年2月12日(水)15時40分
イアン・ランドル(科学担当)

研究チームは、参加者全員に医院内で一晩過ごしてもらい、睡眠中の脳波活動や呼吸、眼球運動、心拍数を測定。レム睡眠に入るまでの時間に応じてグループ分けした。

入眠から最初のレム睡眠出現までの時間は「早い」グループの場合、総じて98分以内だったが、「遅い」グループは193分以上かかった。

アルツハイマー病患者はレム睡眠の出現が遅くなる可能性がはるかに高く、アルツハイマー病に関連するタンパク質のβアミロイドとタウの量がより多いという。


「睡眠ホルモン」の効果

研究によれば、レム睡眠の出現が遅い参加者は早い参加者よりタウが29%、βアミロイドは16%多かった。その一方で、アルツハイマー病などの場合に発現が低下するタンパク質、脳由来神経栄養因子(BDNF)は39%少ない。

「病気の進行を改善する可能性があるため、睡眠パターンに影響を与える薬剤の効果を将来的に研究すべきだ」と、ランは述べている。

一例が、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンだ。レム睡眠を増やす効果が知られ、マウスを用いた研究では、βアミロイドやタウの凝集抑制との関連が確かめられている。

アルツハイマー病のリスクを懸念するなら、レム睡眠へのスムーズな移行に役立つ健康な睡眠習慣を実践すべきだと、研究者はアドバイスする。

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