最新記事
ヘルス

62歳の医師が「ラーメンのスープを最後まで飲み干す」理由 塩分の摂り過ぎより高齢者が注意すべきことは?

2023年5月29日(月)18時20分
和田秀樹(精神科医) *PRESIDENT Onlineからの転載

バラエティに富んだ「弁当生活」を

しかし、現実には、今どきの市販の弁当は、かなり優秀な食品です。競合店ひしめき合うなか、添加物を控えめにし、衛生状態にも気を配っています。3食のうち1度くらい食べても何ら問題はありません。

むろん、買うたびに、幕の内弁当を食べる必要はなく、「今日は豚肉のしょうが焼き弁当、明日は焼き魚弁当」と、バラエティに富んだ「弁当生活」を心がけるといいでしょう。それが、30品目を達成し、バランスよく栄養を摂ることにつながります。

ときには、若者用の「がっつり系」の弁当にも手をのばしてみてください。量が多ければ、2回に分けたり、夫婦2人でシェアして食べればいいのです。

そのようにして、和風、中華、洋風、いろいろな料理を楽しむことが、適切な栄養補給につながります。それは、「外食」する際も、同様です。今日、刺身定食を食べたら、次回は焼き肉、その次はラーメンというように、いろいろなメニューを楽しんでください。

メニューに変化をつけると、しぜん足を運ぶ店が変わることにもなります。そうした「小さな変化」は、脳にとってもいい刺激になるのです。

「味の濃い系」のラーメン店がつぶれない理由

私が「単品の食事は避けたほうがいい」と申し上げても、それでも「カップ麵は便利で、そこそこおいしい。ときどきは食べたい」という人もいるでしょう。

実際、高齢者には、「依存症」になったかのように、カップ麵を常食している人がいるものです。カップ麵は依存症を招きやすい食品です。その理由は「味が濃い」からです。

私は、根っからのラーメン党で、40年以上、いろいろなラーメン店を食べ歩いてきましたが、私の見るところ、「味の濃い系」のラーメン店は、まずつぶれません。味が濃いと、そのラーメンに依存する人、要するに「常連」が増えるからです。

一方、あっさり系のラーメン店は、かなりおいしい店でも、その味のように、あっさりつぶれることがあります。その理由は、依存症者(=常連)が増えにくいからだと、私は見ています。

カップ麵に話を戻すと、今は、各メーカーが添加物量などに留意しているので、毎食、カップ麵を食べていても、それで「命に関わる」ことはありません。

他の食品も含めて、加工食品に多少の発ガン性があるといっても、それは100万人に1人発症するかどうかの確率です。

とはいえ、むろん「毎食、カップ麵」という食生活をおすすめするわけにはいきません。カップ麵を常食すると、摂取する食材の種類が減り、栄養バランスが偏るからです。そうした単品型の食生活は、心身の老化を早めます。

また、同じものばかりを食べていると、「慢性型の食品アレルギー」になるリスクも高くなります。

というような理由から、単品型の食生活は避けたほうがいいのですが、「それでも、カップ麵を食べたい」という人には、自分で「具材」をトッピングすることをおすすめします。

今は、スーパーに行くと、煮玉子やメンマ、焼き豚など、ラーメン用の具材がいろいろと並んでいます。それらをカップ麵にトッピングするのです。そうして、食材の種類を増やせば、高齢者が陥りがちな「単品の害」をある程度防ぐことができます。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請、3.3万件減の23.1万件 予

ビジネス

英中銀が金利据え置き、量的引き締めペース縮小 長期

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中