最新記事
医療

「確実に痩せられる」とSNSで話題...「夢の痩せ薬」に潜む落とし穴

Weight Drug Rebound

2023年3月30日(木)13時20分
クリスティン・ベロニオ
オゼンピック

myskin-Shutterstock

<糖尿病治療薬による減量はリバウンドのリスク大>

確実に痩せられるとSNSで話題の糖尿病治療薬オゼンピック。保険未加入、高額の自己負担、副作用、品薄などの理由で使用を中止する人もいるが、適切な減量計画がないまま中止するとリバウンドする点は見落とされがちだ。

【解説動画】糖尿病治療薬オゼンピックの正体

オゼンピックやウェゴビーといった糖尿病治療薬の使用を中止した場合の影響はいくつか考えられる。

これらの薬の成分であるセマグルチドは、2型糖尿病の治療と長期的な体重管理に使われるGLP-1受容体作動薬。血糖値をコントロールし、満腹感を与えて食欲を抑える作用があるが、薬をやめると食欲が戻ってリバウンドする「可能性が高い」と、肥満の専門家でノースウェスタン大学医学部のロバート・クシュナー教授は指摘する。

「オゼンピックを服用する場合は必ず食生活と運動習慣も健康的なものに改めるべきだ。薬をやめた後も健康的な生活を続けることで体重と血糖値のコントロールにおけるメリットをある程度維持できる」

ニューヨーク最大の医療機関ノースウェルヘルスなどに勤務する形成外科医のデービッド・シェーファーは、薬をやめると食欲が戻ることを身をもって体験した。「以前はピザを半分平らげていたが、セマグルチドのおかげで何口かかじるだけで満腹感を得られるようになった。薬を1回抜いたら満腹感がなくなって、食べる量が増える」

こうした「痩せ薬」には副作用もある。その1つが「オゼンピックフェース」、急な減量に伴って起きる顔のしわやたるみだ。肌の潤いやハリがなくなるのは急激な体重減少によるもので「薬で減った体重が元に戻ればオゼンピックフェースは消える。体重が戻るように顔も元に戻る」とニューヨークのマウントサイナイ病院の皮膚科医で美容整形・臨床研究責任者のジョシュア・ツァイクナーは言う。

ほかにも吐き気、嘔吐、便秘、頭痛、おなら、胸焼けなどの副作用が考えられるが、クシュナーによれば薬をやめれば全て消えるという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=序盤の上げから急反落、テクノロジー株

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、9月雇用統計受け利下げ観測

ビジネス

FRB当局者、金融市場の安定性に注視 金利の行方見

ワールド

ロシア、ウクライナ東部ハルキウ州の要衝制圧 軍参謀
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中