最新記事

医療

拒食症との戦いは12歳から...元NBAスターの妻の私、人生は完璧なはずだった

“My Life Looked Perfect”

2023年2月2日(木)14時40分
アキア・レッド(メンタルヘルス活動家)
アキア・レッド

伝説の名選手である夫マイケル・レッドは無条件の愛情で支えてくれた ACHEA REDD

<理想的なイメージの裏で苦しんだ摂食障害や不安、治療のおかげで得た気付きと「仲間」へのメッセージ>

神は乗り越えられる試練しか与えないという。それが本当なら、自分は「闘士」だと言えることをうれしく思う。

42歳の今、私は最も自分らしく、強くて幸せな自分になっている。だが摂食障害、不安や鬱、時に襲いかかる全て終わりにしようという思いを乗り越えていなければ、こうなってはいなかったはずだ。

夫と出会っていなかったら、あの暗闇の日々に、夫が無制限に支え、無条件の愛情を注いでくれていなかったら、私たち家族はどうなったか......。そう考えるとぞっとする。

これまでずっと、私は体重に悩んできた。より具体的に言えば、自分の体重に対する他者の見方に苦しんでいた。家族やその友人に食べすぎていると指摘され、あるべき体重を指導され、子供のときも常に体形を意識していた。

人に好かれようとして言いなりになりがちな性格だったこともあって、周囲にとって自分は太りすぎなのではないかと、いつも心配だった。

そのせいで、痩せるためなら何でもするようになった。食べ物を口にしないことも。拒食症との闘いが始まったのは12歳のときで、大人になっても続いた。回復に向かい始めたのは38歳になってからだ。

不安はほかにもあった。常に完璧でいたくて、人に好かれたかった。それに「失敗」すると激しく落ち込み、自分につらく当たった。

こうした不安は表に出さなかった。従順な牧師の娘、米プロバスケットボールのNBAスター選手でオリンピック米代表にも選ばれた夫を支える妻、幼い2人の子の母親としての役割を見事にこなす女性を演じていた。

はた目には、私の人生は完璧に見えた。人が欲しがるはずのものは何でも手に入った。でも、それは内側で起きていることとは懸け離れていた。

全般性不安障害の診断

現実には、私はほとんどの時間をベッドで過ごしていた。外の世界から身を隠し、どうしても必要なときだけ洞窟から出た。偽の笑顔を張り付け、社交辞令をつぶやき、ベッドに戻る道はないかと探した。

2016年、夫のマイケルに励まされて、私はようやくセラピーを受け始めた。人生で最も苦しい体験の1つだった(2度の出産を経験しているというのに!)。

全般性不安障害と診断されたときは、ほっとすると同時に圧倒された。ずっと感じていたものに突然、名前が付いた。だが、こうなったのは自分のせいではないと理解するには、長い時間がかかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

デンマーク、女性も徴兵対象に 安全保障懸念高まり防

ワールド

米上院可決の税制・歳出法案は再生エネに逆風、消費者

ワールド

HSBC、来年までの金価格予想引き上げ リスク増と

ビジネス

焦点:税収増も給付財源得られず、頼みは「土台増」 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 7
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中