最新記事

年金

老後は公的年金だけで大丈夫 プロが見直しを勧める「60代後半がハマる無駄遣い」とは

2023年2月13日(月)17時50分
大江加代(確定拠出年金アナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載
ファイナンシャルプランナーに相談する親子のイメージ

*写真はイメージです mapo_japan - shutterstock


公的年金だけで生きていけるか。確定拠出年金アナリストの大江加代さんは「厚労省のデータによると、公的年金を受給している世帯の約半数、48.4%が公的年金のみで暮らしています。また、老後の無駄遣いを減らせばさらにお金の不安は減るでしょう」という――。

※本稿は、大江加代『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法』(ART NEXT)の一部を再編集したものです。

約半数の人は公的年金のみで暮らしている

定年後は、現役時代より生活費が減るとしても、「公的年金だけでまかなえるのか?」と心配する人もいると思います。

しかしこれは、あまりむずかしいことではありません。公的年金の受給額に合わせたライフスタイルにすればよいだけです。実際に、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(令和元年)のデータによると、公的年金を受給している世帯の約半数、48.4%が公的年金のみで暮らしています。

家計に赤字を出さないためには、繰り下げなどによって受給額を増やすとともに、老後の生活に合わせて支出を減らす工夫が必要です。

家計の支出を減らすというと、まっさきに「節約」ということが頭に浮かぶかもしれません。節約というのは、ふだんの食費や光熱費を切りつめて、生活費を浮かせる方法です。また、ほしいものがあっても我慢するといったニュアンスもあると思います。

こういった節約は、面倒なうえにそれほどの効果は期待できません。しかも「定年を迎えて、これから好きなことができる」というときに、生活を切りつめるとか、やりたいことを我慢するというのでは、これまでなんのために働いてきたのかわかりません。

これからの人生はケチケチ生きる必要はありません。それよりも、家計の無駄を徹底的になくしたほうが、支出を減らす効果は絶大です。

しかも、もともと無駄で必要のないものを減らすわけですから、暮らしへの影響はなく、ストレスもほとんど感じないと思います。

生命保険を解約すれば10年で400万円貯まる

大江加代『役所や会社は教えてくれない! 定年と年金 3つの年金と退職金を最大限に受け取る方法』家計の無駄を見つけるとき、いちばんに見直すべきは「保険」です。60歳を過ぎて子どもが独立したならば、生命保険はほぼいらなくなります。なぜなら、前回もお伝えしたように、生命保険がなくても、遺族年金という制度によって配偶者の生活はある程度守ることができるからです。巨額の資産があり、相続対策のために保険に加入している人は別ですが、高い保険料をいつまでも支払うより、解約して保険料を貯金するか、積み立て投資にまわすことをおすすめします。

公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」(2021年12月発行)によると、民間保険に払い込んでいる世帯別年間払込保険料は65~69歳がもっとも高く、42.3万円です。この保険をやめて、年間40万円を貯蓄にまわせば、10年で400万円、20年で800万円も貯えられます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

11月百貨店売上は0.9%増で4カ月連続プラス、イ

ビジネス

物価目標「着実に近づいている」と日銀総裁、賃上げ継

ビジネス

午後3時のドルは155円後半で薄商い、日銀総裁講演

ワールド

タイ11月輸出、前年比7.1%増 予想下回る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中