最新記事

若者

若者の現在と10年後の未来:消費行動編(前編)──所有から利用へ

2020年5月28日(木)11時20分
久我 尚子(ニッセイ基礎研究所)

無駄な消費を避けたい若い世代。体験消費を重視する傾向は女性に強く見られる(写真はイメージです) DisobeyArt-iStock

<今日の若者の消費や価値観に関する独自調査をもとに10年後の消費行動を予測する。前編は、新型コロナウイルスによる外出自粛でデジタル化が加速する消費動向の現在地>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2020年4月15日付)からの転載です。

はじめに──消費のデジタル化、新型コロナによって加速か

近年、インターネット通販や動画配信サービス、キャッシュレス決済サービスといった消費のデジタル化が、スマートフォン使いに長けた若者を中心に進んでいる。さらに今、新型コロナウィルスによる外出自粛等の影響によって、幅広い消費者層において、その流れが加速している。

本稿では、ニッセイ基礎研究所が2020年3月に生活者約6千名を対象に実施した「暮らしに関する調査1」のデータを用いて、あらためて現在の若者の消費行動や価値観の実態を捉えるとともに、若者が予想する10年後、すなわち2030年の未来の消費行動についても見ていく。なお、本稿における「若者」とは20~34歳の未婚者とする。

現在の消費行動──サブスク・シェアで「所有より利用」志向は若者、「モノよりコト」志向は女性で高い

調査では、消費行動について約40の項目をあげ、それぞれどの程度あてはまるか、「あてはまる」「ややあてはまる」「どちらともいえない」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の5段階でたずねている。

「あてはまる」「ややあてはまる」を合わせて「あてはまる割合」とし、まず、20~50歳代の生活者全体の状況を見ると、あてはまる割合が最も高いのは「できるだけ長く使えるものを買う」(74.8%)であり、次いで僅差で「何かを買う時は、ポイントサービスを積極的に利用したい」(73.6%)、「何かを買う時は、事前に情報収集を十分にする」(69.3%)、「キャッシュバックキャンペーンなどは上手く利用したい」(68.1%)、「価格が品質に見合っているかどうかをよく検討する」(67.4%)と続く(図表1)。

Nissei200521_1.jpg

若者でも全体と同様の順位だが、全体と比べて、「経済的に余裕があっても、自動車を買うよりレンタカーやカーシェアリングサービスを利用したい」(全体より+5.9%pt)や「ものを買って所有するよりも、できるだけレンタルや月額定額で使い放題になるサブスクリプションサービスなどを利用したい」(+5.7%pt)、「自分の時間を有効活用するために、家事代行やシッターサービスを積極的に利用したい」(+5.5%pt)で全体を5%pt以上上回る。

このほか、若者のうち男性では「価格が安くなったり、サービスの利便性が高まるなどのメリットがあれば、個人情報を登録することに抵抗はない」(+7.2%pt)や「買い物は、できるだけネット通販で済ませたい」(+6.3%pt)、「新しい商品は人より先に買いたい」(+6.1%pt)で全体を5%pt以上上回る(図表2)。

Nissei200521_2.jpg

――――――――――
1 ニッセイ基礎研究所「暮らしに関する調査」、調査時期は2020年3月、調査対象は全国に住む20~59 歳の男女、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、有効回答6,183、うち本稿の分析対象である35歳未満の若者は1,382(男性784、女性598)。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、大型減税法案可決をアピール アイオワ州

ワールド

IMF、スリランカ向け金融支援の4回目審査を承認

ビジネス

ドイツ銀、グローバル投資銀行部門で助言担当幹部の役

ビジネス

ドイツ自動車対米輸出、4・5両月とも減少 トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 8
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 5
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 6
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中