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クライミング

「クライミング」が世界中で大ブームに...体と頭を駆使し、心を鍛える「真のスポーツ」の魅力とは

ON THE ASCENT

2025年7月25日(金)16時40分
マシュー・トステビン(本誌米国版シニアエディター)
崖

TATYANA POSHATALOVA

<五輪種目になったこともあり、世界中でブームになったクライミング。心身の健康に良い影響を与えるだけではなく、地域経済にも貢献しているようだ>

新米クライマーの私は、上を見上げて思う──「これを登り切るなんて絶対に無理だ」。頭上には、灰色と錆びた茶色の石灰岩がアーチ状にせり出している。

けれども、よく見てみると、岩の表面にいくつものくぼみがあり、そこに滑り止めの白い粉の指跡が残っている。以前に登ったクライマーたちがたどったルートの痕跡だ。


上まで行くには、登り始める以外にない。20メートルほど上の到達点のことは考えない。足と手を次にどこに置くかだけを考える。自分の呼吸の音と、下でロープを握っているビレイヤー(安全確保者)の声だけに意識を集中させる。

崖に設置されたボルトにロープを固定し、頭上にせり出した岩の突起をよじ登っていく。最初の十数メートルは拍子抜けするくらい順調に進む。ところがしばらく進むと、次に足を置く場所がなくなる。手を置く場所もない。指先に力を入れてほこりっぽい岩のひだにしがみつくが、両腕が限界に近づいている。

「落ちる!」と叫ぶのがやっとだった。1メートルほど落ちたところで、ビレイヤーのソフィーがロープを操作して落下を止めてくれる。

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