約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・スウィフト「原盤権」をめぐる6年の闘いに幕
A Taylor’s Victory
ノースカロライナ大学チャペルヒル校のジョスリン・ニール教授も同じ考えだ。「スウィフトが初期のアルバムの原盤権を取得したことは、金銭的に測定できること以上に、彼女自身にとって大きな重要性がある」
「スウィフトとファンにとって重要なのは、彼女が自分の作品を所有するという理念だ。スウィフトはこれまでずっと、自分の音楽は自分の汗と努力の結晶だと言ってきた。そのことは(5月の)手紙でも繰り返し言及している。だから金銭的な利益はもちろんだが、スウィフトというブランドにとっては、この道徳的勝利のほうが価値が高い」と、ニールは言う。
音楽業界では、アーティストの名前とイメージと肖像権が「同じ人物や組織に所有されていることは珍しい」と、英音楽業界調査会社ミディア・リサーチのタティアナ・シリサノ音楽戦略担当バイスプレジデントは指摘する。
スウィフトは今回の6枚の原盤権取得で、その全ての権利を確保したことになり、「映画やゲームなどに自分の音楽の使用権を許諾するとき、大きな柔軟性」を持つことができるとシリサノは語る。
「ついに全てを自分の思いのままにできるようになった。今まで以上にね」と、シリサノは言う。「いつかテイラー・スウィフトのテーマパークができても驚かない」

アマゾンに飛びます
2025年9月9日号(9月2日発売)は「豪ワーホリ残酷物語」特集。円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代――オーストラリアで搾取される若者のリアル
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら