最新記事
教育

スタンフォードにハーバード、超名門大学が続々「テイラー・スウィフト研究」科目を開講するワケ...「軽薄」批判も

Collegiate Swifties Rejoice

2024年2月16日(金)19時24分
アリス・コリンズ
テイラー・スウィフトが名門大学の授業に

MATT WINKELMEYER/GETTY IMAGES FOR THE RECORDING ACADEMY

<カリフォルニア大学バークレー校やハーバード、スタンフォードの学生たちがこぞってポップスターに学んでいることとは>

米カリフォルニア大学バークレー校で公衆衛生学を専攻するアリー・ペレスは、1月から始まる春学期に受講する科目を選ぶため大学のサイトをのぞいた。統合医療からサステナビリティー(持続可能性)まで多種多様な講座が並んでいたが、見ているうちに画面をスクロールする手が一瞬止まった。

■胸元あらわなコルセットドレス...テイラー・スウィフト、友人の結婚式で「白ドレス」姿を披露して非難殺到

そこに記載されていたのはこれまでバークレーのような名門が開講することなど考えられなかった講座。そして子供の頃からテイラー・スウィフトの大ファンだったペレスが思わず小躍りするような講座だ。タイトルは「芸術性と起業家精神/テイラー版」。

21歳のペレスは現在4年生で、卒業後は医療の仕事に就きたいと考えている。スウィフトの「キャリアから多くを学べるし、これからの人生で成長していくために踏むべきステップも学べる」と、彼女は本誌に話した。

スウィフト研究をカリキュラムに取り入れた名門校はバークレーだけではない。ハーバード大学も昨年12月に開講を決定。スタンフォード大学、アリゾナ州立大学、テキサス大学オースティン校もスウィフトの社会的重要性やフェミニストのアイコンとなった過程などを学べる講座を既に提供している。

こうした動きは米国外にも広がっている。英ロンドン大学クイーンメリー校は夏期講習で独自のスウィフト講座を提供。ベルギーのゲント大学の英文学の授業では、学生はスウィフトの歌詞と古典的な散文を比較する試みに挑む。

自主的にスウィフトを研究テーマに選ぶ学生もいる。英ブリストル大学のイービー・チャイルズは、スウィフトが音楽界の女性蔑視にどう立ち向かったかをテーマに32ページの学位論文を書き上げた。

スウィフトのポップスターとしてのキャリアは昨年さらに、業界の常識を覆す新たな高みに達した。世界中の会場でチケットが即完売となった「エラズ」ツアーの興行収入は10億ドル超。スウィフトはタイム誌の「今年の人」に選ばれ、ツアーを収録した映画もゴールデングローブ賞にノミネートされた。

「税金の無駄遣い」との批判も

米国勢調査局によると、全米の大学生の数は2022年現在で1730万人余り。この数字が物語るのは就職活動における熾烈な競争だ。学生たちが求めるのは、企業の人事担当の目に留まるようなユニークな履歴書。独創的な選択科目を受講するのはそのためでもある。

バークレー校のスウィフト研究講座の講師を務めるクリスタル・ハリアントは、何カ月もかけて講義内容を用意した。この講座は今年の春学期、同校のハース・ビジネススクールで開講する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、高市首相の台湾発言撤回要求 国連総長に書簡

ワールド

MAGA派グリーン議員、来年1月の辞職表明 トラン

ワールド

アングル:動き出したECB次期執行部人事、多様性欠

ビジネス

米国株式市場=ダウ493ドル高、12月利下げ観測で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワイトカラー」は大量に人余り...変わる日本の職業選択
  • 4
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 5
    中国の新空母「福建」の力は如何ほどか? 空母3隻体…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    ロシアのウクライナ侵攻、「地球規模の被害」を生ん…
  • 9
    「裸同然」と批判も...レギンス注意でジム退館処分、…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中