約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・スウィフト「原盤権」をめぐる6年の闘いに幕
A Taylor’s Victory

2023〜24年のツアーでは20億ドルを稼ぎ出したテイラー・スウィフト CARLOS ALVAREZ/GETTY IMAGES FOR TAS RIGHTS MANAGEMENT
<「最大の夢」を叶えて喜びを爆発させた歌姫だが、その目的は「金銭的利益」だけではない。いつかテイラー・スウィフトのテーマパークができる可能性も?>
米人気シンガーソングライターのテイラー・スウィフト(35)が、ついに全ての楽曲の原盤権(いわゆるマスターテープ)を手に入れた。5月末に自身のホームページに掲載したファン宛ての手紙で、「最大の夢がかなったと言っても過言ではない」と、喜びを爆発させている。
You belong with me.
— Taylor Swift (@taylorswift13) May 30, 2025
💚💛💜❤️🩵🖤
Letter on my site :) pic.twitter.com/pdb6kGDcVO
今でこそ押しも押されもせぬ世界的大スターとなったスウィフトだが、2006年のデビュー当時は無名の少女にすぎなかった。
そして駆け出しのミュージシャンが皆そうするように、アルバムの原盤権(著作権の一種で、録音・編集して完成した音源に対する権利)は、レコードレーベルが所有する契約をしていた。
ところがグラミー賞を受賞し、スターとしての地位も確立した19年に、レーベルのビッグ・マシン・レコードが音楽投資会社イサカ・ホールディングスに買収され、スウィフトの初期の6枚のアルバム(『テイラー・スウィフト』『フィアレス』『スピーク・ナウ』『レッド』『1989』『レピュテーション』)の原盤権も同社の所有に移ってしまった。
もともとこれらの原盤権を買い取りたいと思っていたスウィフトは、自分に全く相談がなかったとして激怒。さらにそれが別の投資会社シャムロック・ホールディングスに売却されると、スウィフトは6枚のアルバムを再録音して「テイラーズ・ヴァージョン」として発表し、ファンには当初のアルバムではなく、この再録版を聴くよう呼びかけていた。