最新記事
野球

大谷翔平をベーブ・ルースやテッド・ウィリアムズなどの過去の名選手たちと比べたら?

PUT THE BALL IN PLAY!

2024年10月2日(水)17時37分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)

⑤1盗塁当たりの試合数

newsweekjp_20241002030734.png

出塁率に長打率を足したOPSという指標と同じく、1盗塁当たりの試合数からは、打率だけでは見えない打者の「付加価値」が分かる。


大谷は多芸な選手で、対戦チームにとってはさまざまな場面で脅威となる嫌な相手だ。盗塁を決めてシングルヒットを事実上の二塁打や三塁打にしてしまう能力で、大谷は他の偉大な打者たちより優れている。

newsweekjp_20241002030657.jpg

リッキー・ヘンダーソンの通算盗塁数1406はMLB歴代1位 RONALD C. MODRAーSPORTS ILLUSTRATED/GETTY IMAGES

◇ ◇ ◇


以上の5つの指標から大谷のMLBでの7年間の活躍を見ると、彼は一流の打者ではあるが、史上最も偉大な打者たちの仲間入りをするにはまだ至っていないと言えるだろう。

しかし8月28日に本拠地ドジャースタジアムで行われた試合は、大谷の面目躍如だった。大谷と愛犬デコピンの首振り人形が観客に配られ、デコピンが始球式をしたこの試合に、大谷は「1番・指名打者」で出場。第1打席で今季42本目となる本塁打を打ったかと思えば、第2、第3打席も出塁し、それぞれ盗塁を決めて今季の盗塁数を42にした。

大谷はこんな偉業を何度もやってのけている。

大谷は「偉大な打者」という言葉では表現し切れない存在なのだ。彼ほど多芸で才能にあふれ、野球のさまざまな場面で優れたプレーができる選手はいない。

多芸ぶりが抜きん出た選手という意味で、大谷と肩を並べられるのはルースだけ。そしてルースにしても、そんなプレーをしていたのはレッドソックス時代の数年間だけで、それも100年以上前の話だ。

つまり大谷と往年の名選手たちの違いは、打撃よりも第一線で活躍し続けた年数ということになる。そういう意味で大谷がルースやウィリアムズと肩を並べるには、あと5〜10年は恐ろしく高いレベルで投打で活躍し、盗塁を決め続けなければならないだろう。

父が見ていたら言うだろう。大谷みたいな選手にはめったにお目にかかれないと。

※記事中の記録は日本時間9月28日正午現在

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円・ユーロで週間上昇へ 貿易

ビジネス

米国株式市場=米中協議控え小動き、トランプ氏の関税
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 5
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    「金ぴか時代」の王を目指すトランプの下、ホワイト…
  • 8
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 9
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..…
  • 10
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
  • 10
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中