最新記事
戦争の記憶

「時には〈怖い〉とすら思ってもらいたい」──櫻井翔が『徹子の部屋』戦争特番で語った戦争を伝える意味

Passing the Torch of Memory

2024年8月9日(金)10時30分
小暮聡子(本誌記者)
『徹子の部屋』

1976年放送開始の『徹子の部屋』では、初期の頃から戦争を体験した芸能人をゲストに呼び話を聞いてきた ©TV ASAHI

<櫻井翔が8月11日(日)放送の『徹子の部屋』戦争特番に出演。「戦争の記憶」を伝える先輩・黒柳徹子が託したバトンを櫻井はどう受け取ったのか>

報道番組のキャスターとして10年以上にわたって「戦争の記憶」を取材し続け、2021年には本誌に家族の「戦争の記憶」について記事を寄稿した嵐・櫻井翔(42)。

その櫻井が、『徹子の部屋 「戦争」を忘れない~櫻井翔が聞く黒柳徹子の記憶~』(テレビ朝日系列にて8月11日午後1時55分~放送)に出演し、司会の黒柳徹子(90)に彼女自身の戦争体験を聞きながら、黒柳が過去に芸能界のスターたちに戦争体験を聞いてきた映像を振り返る。

黒柳は昨年10月に自身の戦争体験を記した『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)を上梓し、他方で1976年に放送を開始した『徹子の部屋』でも、初期の頃から第2次大戦を体験した芸能人をゲストに呼び話を聞くことを続けてきた。


93年に放送された戦争特集回の冒頭で、黒柳はこう語っている。「どんどん戦争を知ってらっしゃる方の年齢が上になってしまって、ご存じない方の数がもう圧倒的に多くなってまいりました。でもやはり、テレビの中の大きな仕事の1つには、知っている人が知らない人たちにいろんなことを伝えていくということもあると思いまして、私たちは(戦争特集を)毎年続けております」

実際に戦争を体験した世代が年を追うごとにいなくなるなか、櫻井は戦争の記憶を伝えることにおいて「先輩」である黒柳からどんなバトンを受け取ったのか。本誌・小暮聡子が櫻井に聞いた。

◇ ◇ ◇


──今回の戦争特番のきっかけとして、櫻井さんから黒柳さんに戦争体験を聞きたいと手紙を書いたそうだが。

入り口としては、徹子さんにテレビ創成期の話を聞きたいというところから始まり、それと同時に、せっかくお話を伺えるのなら、「黒柳徹子の戦争」について聞きたいと思って手紙を書いたのが出発点だった。

戦争の話を聞く際には、心の奥底にしまってきたもののふたを開けてしまう可能性がある。徹子さんにも、もしかしたら苦しいお願いをしてしまうことになるかもしれないと思ったけれど、徹子さんは、いつでもお話ししますと返事をくれた。

今回の戦争特番に際して思うことは、自分でも10年以上にわたって戦争の記憶をお伺いしてきたなかで、当時の体験を聞くには時間がなくなってきているというのが1つ。あとは、どんどん過去の話になっていくと、ともすればあの時代が「大河ドラマ」の世界になってしまうのではないかという危機感がある。

そういうなかで、映像の力を借りて、白黒の世界をカラーのものとして、身近なものとして特に若い人に知ってもらいたい。時には「怖い」とすら思ってもらいたい。というのが、今回の企画への僕の思いのきっかけだった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

過激な言葉が政治的暴力を助長、米国民の3分の2が懸

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、7月は前月比で増加に転じる

ワールド

中国、南シナ海でフィリピン船に放水砲

ビジネス

独ZEW景気期待指数、9月は予想外に上昇
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中