笑えてハラハラできて胸を打つ──米ヒットドラマの主人公はエイリアン
A Space Alien With Heart
『レジデント・エイリアン』が産声を上げたのは2012年。ピーター・ホーガン原作、スティーブ・パークハウス作画のコミックシリーズ計4冊が原点だ。
「ここまでの道のりは長かった」と、出版元のダーク・ホース・コミックスの創設者で、同社の映画・テレビ制作部門を統括するマイク・リチャードソンは話す。
「アイデアの芽」を持ち込んだホーガンとパークハウスに、リチャードソンは作品の方向性を示した。コミックはヒットし、現在は最終章となる6シリーズ目の制作が進む。
コミックの成功に目を付けたのが、映画監督スティーブン・スピルバーグ率いるアンブリン・パートナーズのテレビ制作部門、アンブリン・テレビジョンだ。
「早い段階でダーク・ホース側に接触し、協力してアイデアをいくつか練った」。アンブリン・テレビジョン共同社長で、ドラマ版『レジデント・エイリアン』の制作責任者を務めるダリル・フランクとジャスティン・ファルビーは、本誌宛ての電子メールでそう振り返る。
SFの垣根を越える
アンブリンはその後、FOXのコメディーアニメ『ファミリー・ガイ』の脚本を長年手掛けるシェリダンと連絡を取った。コミックを読んで「たちまち恋に落ちた」と、シェリダンは言う。
シェリダンを魅了した要素の1つが、アメリカ先住民とその文化に対する注目と敬意だ。ドラマ版では、重要な役柄である先住民系のアスタを先住民の血を引くトムコが、彼女の父親(ハリーは「どこかおかしい」と見抜く鋭い人物)をカナダの先住民俳優でミュージシャンのゲーリー・ファーマーが演じている。
さらに、本作はカナダの先住民の居留地近くで撮影され、先住民のコンサルタントを採用。サウンドトラックでも、カナダのヒップホップデュオ「スノッティ・ノーズ・レズ・キッズ」をはじめ、数々の先住民系アーティストを取り上げている。