笑えてハラハラできて胸を打つ──米ヒットドラマの主人公はエイリアン
A Space Alien With Heart
主人公を演じるテュディックは既に人生が一変する体験をしている。
SFファンの間では、1シーズンでの終了が惜しまれた『ファイヤーフライ 宇宙大戦争』のパイロット役で知られるテュディックは、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの映画やドラマに出演してきた。
「性格俳優として山ほど脇役を演じてきたから、主役かどうかは大した問題じゃないと信じたかった。でも実際にはすごいことだった。何年も音信不通の人、自分の電話番号を知っているとさえ思わなかった人たちから連絡が来る」
テュディックは、無表情でコミカルな演技をする才能に恵まれた俳優だ。ハリー・バンダースピーグルという名前の医師として生きるエイリアンに、往年の喜劇俳優バスター・キートンの哀愁と、地球外生物ならではの脅威の両方を吹き込んでいる。
コメディーにテーマ性を
クリエーターのシェルダンによれば、この融合が作品の成功のもとだ。「大げさなドタバタ喜劇を演じたら、視聴者は登場人物に感情移入できない。コメディーとシリアスドラマのバランスを取る鍵は、現実感を維持しようと努めること。通常のコメディーに存在しないもの、つまり一種のテーマ性を加えることだ」
脇を固めるキャストにも、映画・ドラマ界の実力派がそろう。ハリーの友人アスタ・トゥウェルブツリーズ役のサラ・トムコ、町の酒場のバーテンダーに扮するアリス・ウェッターランド、無知な市長を演じるリーバイ・フィーラー、地元保安官のコリー・レイノルズ──。
『ターミネーター』シリーズのファンにとってうれしいことに、あのリンダ・ハミルトンも米軍エイリアン捕獲作戦を指揮する将軍役で登場する。
町民の中でただ1人、ハリーの正体が見える小学生マックスを演じるのは、子役のジュダ・プレーンだ。
「とてもかわいくて、生意気な奴だ」と、テュディックは話す。「彼と共演するシーンでは異星人姿で登場するから、メーキャップのために2時間早く来ないとならない。午前5時から現場にいる私に、『何時まで寝坊したの?』と言ってくるんだ」