最新記事

映画

新型コロナウイルスで休業の映画館に代わり脚光 日米韓それぞれのドライブインシアター

2020年4月18日(土)12時50分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

ドライブインシアターの本場アメリカでも新型コロナウイルスの感染拡大で映画館に代わりドライブインシアターに注目が集まっている。写真はコロラド州デルタ市のドライブインシアター REUTERS / Shannon Stapleton

<新型コロナウイルスで問題になる「3密」が当てはまる映画館。だが、違った形で映画を上映しようという人びとが動き始めている>

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、世界中の映画館が営業休止を余儀なくされている。日本でも4月16日ついに緊急事態宣言が全国へと拡大された。7日に先行して出されていた7都府県では既に映画館が営業停止しているが、その他の地域の映画館も営業停止処置が進むとみられる。

そんななか、他人との接触を極力減らし映画鑑賞ができるドライブインシアターが今注目されている。

これまで日本では、ドライブインシアターは「大人のエンターテインメント」というイメージがあったようだ。たしかに自動車でないと参加できず、都市部では広い場所の確保が容易ではないため、開催は郊外で行われることが多く、そこまで出向く必要がある。こういった理由が「ドライブインシアター」=「大人のもの」というイメージにしたのかもしれない。

コロナショックで変わる日本のドライブインシアター

しかし、新型コロナの影響で映画館が営業できなくなり、観客が自動車で隔てられるドライブインシアターがにわかに注目を集めるようになり、日本でもドライブインシアターに対するイメージが少し変わりつつある。

山梨のショッピングモールラザウォーク甲斐双葉では、今月4日・5日に野外駐車場でドライブインシアターが開催された。地元の映画館「塩山シネマ」などが主催したもので、料金は500円と格安で、子供から大人まで楽しめる映画「ペット2」が上映されたという。時間帯も18時半に上映を終了するところを見ると、ショッピングを終えて、または鑑賞後外食をして帰ってもらおうという企画意図かもしれない。「ロマンチックな大人のエンタメ」ではなく、「家族みんなで気兼ねなく映画鑑賞」という印象だ。

また、野外映画上映のプロ集団Outdoor Theater Japanは、SNSを通じ、47都道府県でドライブインシアターを行うと発表し話題を呼んでいる。イベントといえば都市部に集中し地方では開催されないことが多いが、全国で行われるとなると日本中で盛り上げてほしい企画である。

ドライブインシアターの開催を目標にしたクラウドファンディングも開始された。シアタープロデュースチームDo it Theaterは、「感染拡大防止という制約こそが、新しい試みを生み出すチャンス」としてドライブインシアターを開催する予定だ。4月1日から8月7日まで250万円を集め、大磯ロングビーチでの上映が目標だという。さらに上映だけではなく、集まった資金の一部は、ミニシアター・エイド基金と、国連財団COVID-19連帯対応基金に寄付することも発表されている。

その他、川崎や広島県神石高原町、お台場駐車場など全国各地でイベントとしてのドライブイン上映会の実施が増え続けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国経済は高成長維持へ、消費主導モデルへの移行を支

ビジネス

テスラ、5月欧州販売は約28%減 5カ月連続マイナ

ワールド

イラン反体制派NCRI指導者、国民に体制打倒呼びか

ビジネス

豪5月CPIは+2.1%に鈍化、コア3年半ぶり低水
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 4
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 5
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 6
    細道しか歩かない...10歳ダックスの「こだわり散歩」…
  • 7
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 8
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 9
    「温暖化だけじゃない」 スイス・ブラッテン村を破壊し…
  • 10
    イスラエル・イラン紛争はロシアの影響力凋落の第一…
  • 1
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 2
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 7
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 8
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 9
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中