最新記事

韓国社会

韓国ドラマの中のセクシャルマイノリティー

2020年3月18日(水)21時10分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

トランスジェンダーやアフリカ系2世などが登場する韓国ドラマ『梨泰院クラス』 KOREA NOW

<世界的にLGBTQに注目が集まるなか、ステレオタイプな恋愛が多かった韓流ドラマにも変化の兆しが>

日本では、同性愛やセクシャルマイノリティーを扱ったドラマは多く作られてきた。設定対象の年齢も幅広く、最近でいえば30代から中年の同性愛を扱った『おっさんずラブ』がヒットし、ドラマだけでなく映画やシーズン2まで登場した。また、『3年B組金八先生』第6シリーズでは、中学生が性同一性障害に悩むキャラクターを上戸彩が演じ話題となった。

韓国でも映画界ではセクシャルマイノリティについての作品が作られ、それらを集めた映画祭「ソウル国際プライド映画祭」も開催されている。さらに韓国の政府機関、両性平等教育振興院では、フィルム×ジェンダープロジェクトとして公募で募った短編映画シナリオの中から2作に2000万ウォンの制作支援金を支給する企画まで存在する。

一方、韓国ドラマでは、これまでセクシャルマイノリティーを扱った作品は少なく、脇役として登場したとしても、大げさな身振りや衣装で誇張された三枚目キャラクターとしての扱いが多かった。

しかし、もうそんな演出も過去のものになりつつあるようだ。最近になって単なるお笑い担当ではなく、彼らの苦悩や葛藤を上手にストーリーに織り込んだ韓国ドラマが増えてきたように感じる。これらのドラマの中では他の主人公らと同じように悩み、恋愛をし、成長していく役としてもっと自然に表現されている。

少女時代のソヒョンも同性愛役を

こういったテレビドラマの流れは、数年前から始まっていたが、昨年から急激に作品数が増えている。去年10月に放送されたKBS 2のスペシャルドラマ『なんでまた子供が見ちゃった(原題)』では、女性になりたい男性と12歳の少女との交流が描かれ話題となった。

また、年末にはtvN にて、性転換手術を受けたトランスジェンダーの叔父と甥っ子の生活を描いた『叔父さんはオードリー・ヘップバーン』が放送されている。さらに、今年の2月17・18日2夜連続放映されたJTBCのオムニバスドラマ『アンニョン ドラキュラ(原題)』では、K-POPアイドルグループ少女時代のソヒョンが、同性である女性を好きになってしまい、それを理解できない母との軋轢を描いた物語だった。

この3作品ともドラマスペシャルという1話完結や前後2話構成のみの作品だったが、連続ドラマでもセクシャルマイノリティーを扱った作品が増えている。去年の11月末から今年の1月にかけて放送されたMBC連続ドラマ『瑕疵ある人間達(原題)』では、登場人物の一人が同性愛者の役で登場し、その恋愛過程が描かれている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、司法省にエプスタイン氏と民主党関係者の

ワールド

ロ、25年に滑空弾12万発製造か 射程400キロ延

ビジネス

米ウォルマートCEOにファーナー氏、マクミロン氏は

ワールド

米政権特使、ハマス副代表と近日中に会談へ=米紙
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 9
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 10
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中