最新記事

音楽

韓国オーディション番組にまたも疑惑 アイドルの次は韓国演歌

2019年12月3日(火)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

プロデュース101シリーズの疑惑が重なる

大ブームの兆しを見せ始めた矢先での、今回のスクープに韓国歌謡界では波紋が広がっている。特に今回の疑惑問題を見ていると、アイドルオーディション番組『プロデュース101』シリーズでの得点操作疑惑を連想してしまう。ちなみにこのシリーズで問題を起こしたケーブルテレビ局Mnetは、2014年にトロットのサバイバルオーディション番組『トロットX』を放送していたが、こちらはヒットせずに終わってしまった。『明日はミス・トロット』優勝者ソン・ガイン氏は、この番組にも参加したが、予選落ちしていたという。

問題となっている出演料25%徴収問題について朝鮮放送側は「疑惑については現在確認中である」としているが、契約については「放送開始前、出演者達に説明をし、同意を得ている」と発表した。そうすると、もしもTOP4に残った出演者達がこの契約に同意をしていなかったとすれば、ひょっとすると、入賞すらしてなかった可能性はないだろうか、というさらなる疑惑に繋がっていく。

ネット上では、この問題が発覚後から「人気番組となったのだから、すでに莫大な広告収入を得ているはずなのに、さらに入賞者からも徴収するなんて!」「番組のおかげで有名になれたとはいえ、25%はやりすぎなのではないか?」という批判の声が高まっている。韓国芸能界がヤラセ問題に敏感になっている今、この疑惑は番組だけでなく、入賞者の今後の活動にも影響が出る可能性がある。

マーケティング費用と考えれば安いもの?

オーディション番組は、毎週TVに出演できるうえ、視聴者の共感も得やすい。ファン獲得の手段としてはうってつけだろう。実際オーディション番組を通して優勝したソン・ガインは、それまで歌手としての仕事が少ないために、アクセサリー作りの内職をしていたほどだが、番組優勝後は出演料が20倍委譲にも跳ね上がり、中高年はもとより若い人たちにまで知らない人はいない国民的歌手となった。

新人歌手一人売り込むための宣伝費用は想像を超える莫大なものだという。オーディション番組をマーケティングだと考えるならば、収入の25%ぐらい喜んで払いたいという事務所もあるかもしれない。TV局側も自分たちのおかげで高収入を得ることができるようになったのだから、見返りが欲しいと考えてしまったのだろうか。しかし、こういったことがエスカレートしていくと、またオーディション番組=ヤラセという疑惑のイメージが定着して、せっかく今盛り上がっているトロット人気に影を落としかねない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀は8日に0.25%利下げへ、トランプ関税背景

ワールド

米副大統領、パキスタンに過激派対策要請 カシミール

ビジネス

トランプ自動車・部品関税、米で1台当たり1.2万ド

ワールド

ガザの子ども、支援妨害と攻撃で心身破壊 WHO幹部
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 7
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中