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韓国オーディション番組にまたも疑惑 アイドルの次は韓国演歌

2019年12月3日(火)12時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

地上波を含めた視聴率1位

その後、トロット人気は落ち着いてきていたところで登場したのが『明日はミス・トロット』だった。当初は、食傷気味となった音楽オーディション番組と、ブームが去ったトロットとの組み合わせということで、さほど期待されていなかった番組だったが、第1回放送の5.889%から回を追う毎に視聴率が上がり続け、決勝戦の回は18.114%と、同時間帯では地上波を含めた視聴率1位となる大ヒットとなった。優勝したソン・ガインは、伝統音楽の国学を学んだのち、トロット歌手としてデビューした39歳。彼女を含めた上位入賞メンバーはトロット界の新星として脚光を浴びている。

音楽業界やメディアは、この番組で大衆の人気を集めたトロット人気を定着させようと、さまざまな企画でトロット歌手たちを取り上げている。番組での歌が音楽配信サイトで配信されているほか、ソン・ガインを含めた上位入賞者たちによるコンサートツアーは韓国各地はもとより、全米ツアーも開催された。また国民的司会者と呼ばれるユ・ジェソクが、ユ・シンスル名義でトロット曲をリリースして話題になるなど、様々な人気獲得の努力が見える。

さらに、2020年にはトロット男性歌手を発掘する『ミスター・トロット』の放送開始が決定している。こちらでは審査員にアイドルグループJYJのメンバー、キム・ジュンスが参加すると発表された。アイドルに目が行きがちな若い層からの支持も、ここで一気に得ようという作戦だ。

ブームの影で浮上した疑惑

そんなブームの火付け役となった『明日はミス・トロット』だが、ここにきてある疑惑が注目を集めている。優勝者であるソン・ガインの放送終了後からのイベントやTVなどへの出演料などの収入のうち、なんと25%ものお金がこの番組の放送局である朝鮮放送の懐に流れているというのだ。

詳しい内訳については、収入の50%がソン・ガイン本人に渡され、残りの25%ずつが芸能事務所とTV朝鮮に入る仕組みだ。韓国メディアTHE FACTの報道によると、ソン・ガイン以外にも、2位から4位までの入賞者であるチョン・ミエ氏、ホンジャ氏、チョン・ダギョン氏にも同じようにTV局による25%の収入徴収が行われていた。さらに、この徴収の契約は2020年末まで続くという。

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