最新記事

サッカー

同性愛を公言、ヌードも披露 女子サッカー米代表のミーガン・ラピノー

2019年7月8日(月)12時00分
クリスティーナ・コーテルッチ

BENOIT TESSIER-REUTERS

<「LGBTプライド月間中のW杯で輝けたことは素晴らしい」「くそったれホワイトハウスには行かない」ラピノーは分野を超えた新世代のヒーローだ>

サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会でアメリカ代表の快進撃に貢献したのが、FWのミーガン・ラピノー。6月28日のフランス戦で2得点を挙げて準決勝進出を決めた後、「LGBT(性的少数者)プライド月間にこの成果を上げられたことは感無量?」と問われたラピノーはこう答えた。「ゲイ、万歳!」

続けて彼女は言った。「同性愛者なしのチームで優勝なんてできない。これまでだってずっとそう。これこそ科学。私にとって、同性愛者であることと、プライド月間中のW杯で輝けたことは素晴らしい」

ラピノーだけでなく、同性愛を公言する有名人は増えている。多くの業界で、カミングアウトでキャリアが閉ざされることは減り、むしろ知名度アップに貢献する例すら出てきた。

サッカー界はその進化の途上といったところ。関係団体やファンは、次第に同性愛者の選手への偏見をなくし、ようやく受け入れつつある段階だ。歴代最多得点記録保持者のアビー・ワンバックですら、引退の数年前まで同性愛を公言しなかった。

対照的にラピノーは、積極的に自らの同性愛をアピールしてきた。SNSにはパートナーとの写真を頻繁に投稿し、昨年には恋人である女子プロバスケット選手スー・バードと共にヌードでスポーツ誌面を飾った。

LGBTの先頭に立つだけではない。NFLの膝つき抗議行動への対応などから米トランプ政権を批判してきたラピノーは、今年1月のインタビューで、W杯で優勝しても「くそったれホワイトハウスには行かない」と断言。最近になってこの動画が公開されたことで注目を集めた。案の定、トランプ大統領は「まず優勝してから言え」「勝っても負けても招待してやる」とツイッターでかみついている。

サッカーのプレーでファンを魅了し、LGBTの旗手となり、トランプにも屈しない──ラピノーは、分野を超えた新世代のアメリカンヒーローだ。

©2019 The Slate Group

<2019年7月16日号掲載>

20190716issue_cover200.jpg
※7月16日号(7月9日発売)は、誰も知らない場所でひと味違う旅を楽しみたい――そんなあなたに贈る「とっておきの世界旅50選」特集。知られざるイタリアの名所から、エコで豪華なホテル、冒険の秘境旅、沈船ダイビング、NY書店めぐり、ゾウを愛でるツアー、おいしい市場マップまで。「外国人の東京パーフェクトガイド」も収録。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBは現行の政策運営枠組み撤廃でより厳格にインフ

ビジネス

米国株式市場=ダウ・S&P上昇、終盤に買い GDP

ワールド

米・ウクライナ、復興投資基金設立協定に署名 米財務

ワールド

原油先物急落、サウジが増産示唆 米WTI21年3月
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・ロマエとは「別の役割」が...専門家が驚きの発見
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中