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文化財もアスリートもアニメも...境界を越えるコミュニケーションの未来へ

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2016年10月11日(火)12時00分

スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの「官民ワークショップ」を各社で担当するサイバードの小林孝夫氏、アサツー ディ・ケイの沖田修一氏、凸版印刷の奥窪宏太氏(左から)

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<今年10月に日本で開催される国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」。この中で注目のプログラムが、国内外の各界リーダーらが世界の未来を議論する「官民ワークショップ」だ。ワークショップの"プレビュー"を行うべく、パートナー企業3社の担当者に集まってもらった>

 日本で今、世界でも前例のない大規模な国際会議の準備が進められている。2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の関西ワールドマスターズゲームズと続く国際的なスポーツ大会に向けて、10月19日から22日にかけて京都と東京で開催される「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」だ。

 といっても、スポーツに限った国際イベントではない。「Co-Creation, Co-Growth」をコンセプトに、観光とも連動させつつ、スポーツ、文化、ビジネスによる国際貢献や有形・無形のレガシーなどについて議論。未来へ向けて、世界の新しい成長をこの日本から発信していこうという国際会議である。

「Co-Creation, Co-Growth」の一旦を担うのが、このフォーラムの多彩なプログラムのひとつである「官民ワークショップ」だ。「ダボス会議」で知られる世界経済フォーラムとの連携のもと、約25のセッションが開かれ、世界の未来を議論する。60を超える国から各界リーダーら300名以上が参加し、日本からの参加者と併せて600名以上が集う大規模なものとなる。

「官民ワークショップ」で議論される大きなテーマのひとつは、言うなれば「境界を越えるコミュニケーション」だろう。日本には世界に冠たるポップカルチャーがあり、また一方で、武道や茶道といった伝統文化が海外で高く評価されている。いずれも日本ならではの"コミュニケーション"と言えるが、これらをどう役立てていくのか。デジタル化・グローバル化がより一層進んでいく未来に向けて、その可能性を探りたい。

官民ワークショップ、3つのテーマ

 当日「官民ワークショップ」のセッションを行うパートナー企業の担当者たちに集まってもらい、話を聞いた。印刷テクノロジーをベースに幅広い事業を手掛ける凸版印刷の奥窪宏太氏、主にモバイルコンテンツ事業を展開するサイバードの小林孝夫氏、総合広告代理店であるアサツー ディ・ケイの沖田修一氏である。

――まずは官民ワークショップのセッションテーマについて、それぞれ教えてください。

凸版印刷・奥窪氏(以下、奥窪) ワークショップのセッションは、「テクノロジーは人間から何を奪うのか」をテーマにしています。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)によるデジタル化が進む中で、コミュニケーションの在り方がどうなっていくのか。そして人間の在り方がどう変わっていくのか。我々は、技術が進化すればコミュニケーションの在り方も進化すると、明るい未来を描いているのですが、その半面、人間の存在価値はどうなっていくのかという疑問もあります。

サイバード・小林氏(以下、小林) ワークショップは、「企業は、アスリートと国民の絆を結べるか?」がテーマです。このセッションでは3つの議論を期待しています。1つ目は、日本と海外のスポーツ業界を比べてどのような違いがあるか。2つ目は、日本のアスリートがファンと関係することでつくられるスポーツ市場はあるか。3つ目は、将来に向けて日本のスポーツ業界が、アスリートの社会性やセカンドキャリアなどの問題に対してどのような形で発展していけるか。ITプラットフォームを活用することで、アスリート、企業、国民のつながりの新しい在り方をつくる話にしたいと思っています。

アサツー ディ・ケイ・沖田氏(以下、沖田) テーマは、「日本のポップカルチャーの可能性:Beyond Cool Japan」としています。日本のアニメやカワイイというカルチャーが、世界にどのような影響を及ぼしているのか。価値観が多様化していく中で、言語に頼らないイメージツールであるアニメが今後、ビジネスや生活、教育という分野でどのように活用されていくのか。アサツー ディ・ケイはコーディネーション役を担い、コンテンツ業界をリードする方々の知見をベースに日本のポップカルチャーの可能性について話し合ってもらう予定です。

VRなどの先端技術をポジティブに捉えたい

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凸版印刷の文化事業推進本部で、国内外の文化財のデジタルアーカイブ化と、それらを活用したVR(バーチャルリアリティ)のコンテンツ発信を担当する奥窪宏太氏。ワークショップのテーマは「テクノロジーは人間から何を奪うのか――人間とデジタルの再結合」

――凸版印刷の「テクノロジーは人間から何を奪うのか」というテーマには、なにか危機意識のようなものが感じられますね。

奥窪 京都のお寺や博物館の人たちと話をすると、外国人観光客が増えて賑わう一方で、文化財の劣化が予想以上に早く進んでいるということをよく聞きます。文化財のデジタルアーカイブを文化財の保存に活用したり、そのデータをVR(バーチャルリアリティ)技術を用いて可視化することで文化財の魅力をより多くの人に伝えたりできるのですが、本物をデジタルで置き換えようとしているのではないかなど、デジタルの技術に対してネガティブなイメージを持たれている人がまだまだ多い。先端技術が精神的なものとか、人間らしさみたいなものを奪ってしまうのではないかというわけです。そのような印象を払拭して、もっとポジティブに先端技術を捉え、人や文化財とデジタルを共存させていきたいという思いがありました。

沖田 VRの技術で実用化されているものには、どんなものがあるのですか。

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