最新記事

株の基礎知識

初心者が知らない、株価の「底」の見分け方

2022年8月8日(月)16時05分
網代奈都子 ※かぶまどより転載

単純に、「直近で最も株価が落ちたところ」を見れば大丈夫。それより前の底が3月19日の、チャートが最もへこんでいるところですね。

ただし、例えば10年などの長期チャートで見たら、もっと大きな底があります。ここまでは日足で見てきましたが、月足に変えてみましょう。こうすると、2016年6月に14,864円という底があることがわかります。さらに2011年11月には8,000円という大底がありますね。

kabumado20220808soko-chart3.png

このように長期で見たうえで、次なる「底候補」は2016年6月の14,684円だな、というふうにプロは考えているんです。あくまで「候補」ですけれど。

そして、今回の3月19日の16,358円という底も、前回安値でどこか似たような底があったのか?と思うかもしれませんが、それが実際にあったのです。少し前になってしまいますが、2016年11月18日の16,111円です。

kabumado20220808soko-chart4.png

つまり、4年前の底がターゲットとして注視されていたのです。

日経平均株価は2020年3月に大きく暴落し始めましたが、その暴落のさなかで、トレーダーたちはまず直近の大きな底(①2019年8月)を見ます。株価がそれを破って下がってしまったら、次の底(②2018年12月)を見る。

kabumado20220808soko-chart5.png

今回はそこも破られ、最終的に2016年11月の底(③)で底打った、というわけです。このように、前回の安値を次々にずっと追っているだけなんです。

暴落相場では「果てしなく落ちていく」という恐怖に駆られるかもしれませんが、実はプロたちは「過去の底」という目安を持っているので、「どこまで下がるんだろう」と不安になることもないのです。どんなに下げたとしても、それは過去に行ったことのある底だからです。

そこは本当に底なのか? 暴落相場での仕掛け方

──2020年3月の暴落時に、株価が2016年11月の底をうかがった時点で「ここで底を打って、もう上がるんじゃね?」という思惑で仕掛けた人もいたのでしょうか?

トレーダーK氏:いっぱいいたと思います。

前回安値については「ここで反発する」という人たちと「いや、まだ落ちる」という人たちの思惑がぶつかり合います。売りが強いと底を抜けてしまう。そうなると、またさらに次の底を目指してぶつかり合いが起き......の繰り返しです。

底でバトル発生。その後、勝ち上がったらさらなる強敵のいる底へ。そして、またバトル発生! というわけです。だから、単純に「前回安値で反発する」なんて言えないんです。いずれは過去の安値で底が来る、でも、どの安値で底になるかは誰にもわからない──それが真実です。

(参考記事)株式投資で「着実にお金が入る」たったひとつの方法

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ネタニヤフ氏、イランの体制崩壊も視野 「脅威取り除

ワールド

トランプ氏、イスラエルとイランの停戦合意を期待

ビジネス

仏ルノーCEOが退任へ、グッチ所有企業のトップに

ワールド

トランプ氏の昨年資産報告書、暗号資産などで6億ドル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中