最新記事

株の基礎知識

テスラに見る株式市場の先見性、知っておくべき歴史の教訓

2021年4月12日(月)16時45分
鳳ナオミ ※株の窓口より転載

■中国企業が席巻した時代、日本中が沸いたあの頃

これを見るとわかるように、現在はGAFAをはじめとしたアメリカ企業が上位をほぼ独占していますが、過去にはまったく異なった会社が占めていました。

14年前の2007年当時で言うと、中国のペトロチャイナが1位、続いてチャイナモバイル、中国工商銀行、中国石油化工など中国企業が上位の半数を占めていました。中国経済の大発展が世界経済を席巻した時代の象徴といえ、実際、中国経済は世界第2位の地位まで上り詰めたのは皆が知るところです。

さらに18年前の1989年まで遡ると、世界1位はNTT(日本電信電話<9432>)で、次いで住友銀行(現・三井住友フィナンシャルグループ<8316>)などの銀行各社、トヨタ、東京電力<9501>などが並び、世界の時価総額上位10社中、実に7社が日本企業でした。

土地の高騰をはじめとしたバブルに沸いた日本経済が世界をリードしていた時代です。振り返れば「バブル」と片づけられていますが、少なくとも当時は、日本には世界トップクラスの会社がたくさんあって、それが当然だと信じられ、時価総額で評価されていたのも事実です。

このように、いま現在、「そりゃそうだよね」とか「当たり前だよね」と思うことが、未来永劫も継続しているわけではないというのは重要な視点です。世界経済で言えば、概ね20年前後で主役が変遷していると捉えることができます。今はGAFAが主役ですが、20年後は全く変わっているかもしれません。

日本国内でも主役は変わっていく

日本の株式市場だけを観察しても、興味深い変遷を示すものがあります。例えば、小売業界です。GDPの約6割を支える消費支出の多くを占める小売業界は、ライフスタイルの変化により、その主役が変わっています。

1960~70年代では、買い物の場の主役は百貨店でした。三越(現・三越伊勢丹ホールディングス<3099>)をはじめ、高島屋<8233>、大丸(現・J.フロント リテイリング<3086>)など百貨店が小売市場の上位を独占し、「デパートに行く」がステータスともなっていた時代です。

1970年~80年代になると、日常品のチェーン化を実現したスーパーが主役になります。代表的な会社がダイエー<8263>で、イトーヨーカ堂(現・セブン&アイ・ホールディングス<3382>)やイオン<8267>が続きます。

その後、1990年代から2000年代に入るとライフスタイルが大家族から個へシフトし、コンビニエンスストアが台頭してきます。だれもが知っているセブンイレブンですね。当時のセブンイレブンジャパン(現・セブン&アイ・ホールディングス<3382>)の株を買っていれば、投資額は数百倍にもなったことで有名です。

このように、時代とともに人々のライフスタイルに変化が生まれ、それによって業界の主役が移り変わり、株式市場でもそのポジショニングを高めていったのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米オキシデンタル、化学部門をバークシャーに97億ド

ビジネス

米国株式市場・午前=S&P・ナスダック最高値更新、

ワールド

米政府機関閉鎖、GDPへの打撃となる可能性─財務長

ビジネス

米テスラ、第3四半期世界納入台数7%増 米で駆け込
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭蓋骨から何が分かった?
  • 4
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 5
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 6
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    AI就職氷河期が米Z世代を直撃している
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 2
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 9
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 10
    琥珀に閉じ込められた「昆虫の化石」を大量発見...1…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中