最新記事

株式投資

株を始めるなら知っておきたい、「投資」と「トレード」の違い

2021年1月7日(木)13時15分
酒井理恵(ライター)

Antonio_Diaz-iStock.

<運用スタイルを分かっていないまま株式投資をすると「全然儲からない」という羽目にも陥りかねない。資金を貯める目的は何か、株取引に割く時間はどれだけあるか、どのような分析をするか......。自分はどちらが向いているかを見極めることが大切だ>

働き方改革の影響で、会社員の間で副業が広まっている。だが転売やウェブライターなど、時間を切り売りして稼ぐ仕事は大変そうだとか、自分に向いていないといった理由で、株式投資に参入する人も多い。

会社員が収入アップを目的として株式投資をする場合、大前提として理解しなければならないことは何だろうか。

あなたに向いているのは投資? トレード?

株式投資を始めてみたものの、「雑誌やネットを参考にしているのに全然儲からない」という人も少なくないだろう。その理由のひとつは、そもそも自分の運用スタイルを分かっていないという点にある。

株式投資と言っても、運用スタイルの違いで大きく2種類に分けられる。すなわち、「投資」と「トレード」だ。まずはその違いを知っておく必要がある。

資金を貯める目的やライフスタイルを振り返り、自分は「投資」と「トレード」のどちらが向いているかを考えてみよう。

■投資に向いている人の特徴

・株取引に割く時間は少ない
・株価の上下に一喜一憂したくない
・結果はすぐには求めない
・老後資金、子供の教育資金、マイホーム資金など将来的に必要なお金を貯めたい
・ある程度の資金をじっくり育てたい
・ファンダメンタルズ分析が好き、または苦にならない

投資とは、「よい企業」に対し、「長期的」にお金を投じることを意味する。株式を保有している間に企業が成長したら株価が上がり、それが株主の利益になるからだ。

ただし、企業の成長がすぐに株価に反映されるわけではなく、早くて半年、通常は3〜5年ほどの中長期的な期間で見る必要がある。そのため、今すぐにお金が必要というわけではなく、気長に待てる人に向いている。

そして、「よい企業」であるかどうかを見極めるために、「ファンダメンタルズ」と呼ばれる財務状況や業績などの複雑な分析をする。ただ、購入した後は基本的に「放ったらかし」のため、仕事や家事で忙しく、株取引に割く時間が少ない人に最適だろう。

■トレードに向いている人の特徴

・株取引に割ける時間は多め
・すぐに結果を出したい
・月々の収入をアップさせたい
・少ない資金を短期間で大きくしたい
・テクニカル分析が好き、または苦にならない

トレードとは、「株価の動き」に注目し、「短期的」な売買を繰り返すことを意味する。短いと数秒、長くても数カ月の間で売買するので、すぐにお金が必要な人に向いている。

ファンダメンタルズ分析は必要ないが、過去の値動きからパターンを把握し、将来の値動きを予想する技術(テクニカル分析と呼ばれる)が求められる。また、刻々と変動する株価チャートの動きに対応するため、株取引に割く時間はそれなりに必要だ。特に株式市場の営業時間である平日昼間に全く時間を確保できない人には不向きかもしれない。

transaction_accounts_superbanner.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

南アCPI、11月は前年比+3.5%に鈍化 来年の

ワールド

トランプ氏、国民向け演説で実績強調 支持率低迷の中

ワールド

ドイツ予算委、500億ユーロ超の防衛契約承認 過去

ビジネス

「空飛ぶタクシー」の米ジョビ―、生産能力倍増へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 5
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中