最新記事

インタビュー

「コロナ後は接待する会社が伸びる」CDOの先駆者・長瀬次英が語る飲み会の重要性

2020年9月1日(火)17時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Photo: 遠藤 宏

<「直で話すことでしか人のつながりは生まれない」「接待費を削った会社は成長を止めてしまう危険性がある」と、日本ロレアルの「最高デジタル責任者」などを歴任した注目のマーケターは言う。その真意とは?>

日本ロレアル初のCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)、インスタグラム初代日本事業責任者などを務め、デジタル時代のトップマーケターとして知られる長瀬次英氏。
marketingbigbang20200831-cover150.jpg
2019年には独立し、新たなビジネスを始めると同時に、さまざまな企業・事業に参画し活躍を続けている。

新型コロナウイルスの感染拡大以前から、企業の飲み会や接待について、各媒体や講演で繰り返しポジティブなコメントをし、話題になっていた。自分自身を「誰よりもアナログなCDO」と呼んだりもしている。

なぜ飲み会や接待を積極的にする会社は伸びるのか。それはアフターコロナの時代でも通用するのか。

このたび、初の著書『マーケティング・ビッグバン――インフルエンスは「熱量」で起こす』(CCCメディアハウス)を出版し、その豊富な経験をもとに新時代のマーケティング・コンセプトを打ち出した長瀬氏に話を聞いた。

長瀬氏曰く、海外でニッポン的「飲みニケーション」への関心が高まっているという実情もあるという――。

※インタビューは全2回。1回目はこちら:
「日本人にアルゴリズムは通用しない」元インスタグラム・長瀬次英が語る日本のSNS


外資系企業の代表とか日本初のCDOとか、華やかな経歴のせいで誤解されやすいのですが、僕のキャリアの出発点はKDD(現在のKDDI)。

現在はどうか分かりませんが、当時の新入社員は誰よりも早く来てオフィスの掃除をして、上司のデスクを拭いておく。朝はなぜか体操から始まって、勤務中は基本的に上司やチームの空気を読んで行動するのが良しとされていました。

さらに業務が終わったら、深夜まで取引先やチームで飲み会なんてザラ。今の時代にそぐわない慣習・仕事の進め方かもしれませんが、こうした経験はマーケターとして、さまざまな企業から仕事の依頼をいただくようになった今でも、非常に役に立っています。

まず日本企業の人と仕事をするとき、どんな文化の中で彼らが仕事をしているか自分も体験しているので、共感しやすい。何より、現在の日本企業を動かしているオジサンたちも同じような経験を積んで偉くなったので、僕の新人時代の話をすると、一気に距離が縮まる(笑)。どちらもビジネスにおいて、とても大切ですね。

KDDの後、長瀬氏は世界最古の広告会社ジェイ・ウォルター・トンプソン、ユニリーバなどを経て、インスタグラムの初代日本事業責任者に就任。いずれも日本企業の文化とは程遠い印象があるが、上司や部下、同僚とのコミュニケーションの取り方においてさほど差はないのだという。

【関連記事】「酒に酔うと外国語がうまくなる」:欧州の研究者らが実験で確認

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中