最新記事

株の基礎知識

日本株が「割安」な理由を2つの側面から考える

2020年1月27日(月)11時00分
佐々木達也 ※株の窓口より転載

yongyuan-iStock.

<日本株の戻り基調が鮮明になっていると言われるが、それでも「日本株は割安だ」という声も根強くある。なぜそうなるのか? そこには日本株への期待も隠されている>

実は「割安」な日本株

日本株は割安である――日本株の強気派からは、こうした意見が多くなっています。実は日本株は、アメリカ株など他の国の株式に比べると、確かに割安なのです。

■日経平均株価をPERで見る

日本株はどれほど割安なのか。まずは、株価の割安・割高を示すPER(株価収益率)で確認してみましょう。

PERは、企業の1株あたり利益(EPS)に対して株価が何倍まで買われているかを示す、いわば株の人気のバロメーターです。倍率が高ければ高いほど人気で買われている、つまり割高であることを表しています。

日経平均株価のPERは、公式サイトである「日経平均プロフィル」で見ることができます。これによると、11月1日(終値)時点のPER(加重平均)は12.95倍となっています。

一方、アメリカ市場の主要指数のひとつであるS&P500のPERは17倍を超えており、日経平均のPERを大きく上回っています。このことから、アメリカ株と比べて日本株は割安だと言うことができます。

■PBRで見ると......ほぼ解散価値

あわせて、企業の解散価値を示すPBR(株価純資産倍率)でも見てみます。

PBRは、企業の株主資本(純資産)に対して株価が何倍まで買われているかを表します。倍率が低いほど割安であることを表しており、これが1倍を下回っていれば、すなわち解散価値を下回っている状態ということになります。

同じく「日経平均プロフィル」で日経平均株価のPBRを確認すると、11月1日(終値)時点で1.13倍。ほぼ解散価値に近いと言っていい水準です。株価が20,000円近くまで下げていた8月には、1.01倍にまでなっていた日もあります。

過去には、リーマンショックや東日本大震災などのクラッシュ時、実際に1倍を下回ったこともあり、その水準が相場の底となる局面もありました。

日本株が割安な2つの理由

なぜ日本株は割安なのでしょうか? 2つの理由から考えてみましょう。

■日本株は世界景気の敏感株

日本株が割安な理由の1つに、日本株が世界景気の敏感株であるということが挙げられます。

東証1部上場銘柄のうち時価総額と流動性の高い30銘柄で構成される株価指数「TOPIXコア30」には、日本を代表する企業が名を連ねています。

具体的には、日本の主たる製造業であるトヨタ自動車<7203>やホンダ<7267>など自動車メーカー、キヤノン<7751>やソニー<6758>など電機メーカーのほか、三菱商事<8058>などの大手商社、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>などのメガバンクがそうです。

これらの企業はグローバルに企業活動を行っているため、世界経済の動向に敏感に反応します。

例えば、米中貿易摩擦や中国の成長鈍化などによって輸出が落ち込むと、製造業をはじめとする輸出企業の利益に大きく響きます。あるいは、景気刺激策として各国の中央銀行が政策金利を引き下げると、メガバンクなどの金融株の利益に影響が出ます。その結果として、株価下落につながりがちです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米、印への対戦車ミサイル・誘導砲弾売却承認 930

ビジネス

金利正常化は「適切なペース」で、時期は経済・物価見

ビジネス

PB目標転換「しっかり見極め必要」、慎重な財政運営

ワールド

中国、日中韓3カ国文化相会合の延期通告=韓国政府
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 9
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 10
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中