最新記事

教育

テスト問題を予想さえすれば、誰でも東大に合格できる?

2018年4月14日(土)11時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

ferrantraite-iStock.

<教師がどうやってテストを作り、成績をつけているのかを理解すれば、「良い点」「良い成績」は簡単に取れるようになる――。教師だらけの家庭で育ち、東大に現役合格した日本教育政策研究所代表が明かす「勉強の新事実」>

新年度を迎え、多くの人が新しい生活のスタートを切り、多くの若者が念願の大学生となった。ここ数年の統計によると、毎年60万人強の新大学生が誕生している。

そのうち、「日本の最高学府」である東京大学に晴れて入学できた学生の数はどれくらいか、ご存じだろうか。正解は約3000人。この数は長年変わっておらず、文理6つの類の中でも最も人数の多い「理科一類」では毎年1000人以上の定員が募集されている。

この数字だけを見ても、東大に合格したからといって「天才」とは決して言えないことが分かる。毎年3000人もの天才が現れるわけがないのだから――そう語るのは、理科一類に現役合格した経歴を持ち、現在は日本教育政策研究所の代表を務める谷川祐基氏だ。

谷川氏は著書『賢者の勉強技術――短時間で成果を上げる「楽しく学ぶ子」の育て方』(CCCメディアハウス)の中で、これまでの常識を覆すような「勉強の新事実」を展開している。谷川氏曰く、学校の勉強とは暗記ではなく「他者理解」なのだという。

教師だらけの家庭で知った「教師の本音」

谷川氏は高校3年の秋から受験勉強を始め、一度も塾に行かず、予備校に通うこともなく、東大に現役合格した。それまでにも、小学校から中学までずっと学年トップの成績をキープし、高校も愛知県の公立高校では最難関とされる旭丘高校に進学している。

それでも、自分は決して頭が良かったわけではなく、必死の努力をしたわけでもないという。もしも他の子供と違っていたところがあるとすれば、それは「勉強のやり方」を分かっていたことであり、その恩恵をもたらしてくれたのは育った家庭環境だと語る。

谷川氏の母親は小学校の教師であり、叔母は中学教師、叔父は高校教師、さらに幼稚園の教師である叔母と小学校の教師をしている叔父もいた。このような教師だらけの中で育ったことで、教師の本音と、学校教育の真の姿を知ることができたというのだ。

谷川氏が気づいたのは、「学校のテストは教師が作る」「学校の成績は教師がつける」という単純な事実だった。問題作成者であり成績判定者である教師がどうやってテストを作り、成績をつけているのかを理解すれば、「良い点」「良い成績」は簡単に取れるようになる、というのだ。

まず、子供たちの成績を下げようとして難しい問題を作る教師はいない。なぜなら難し過ぎて平均点が低くなるテストでは、子供たちの理解度が判定できないからだ。また、自身が想定した平均点より著しく低い結果が出た場合、教え方のほうに問題があると考えられてしまう。だから教師は、子供たちがしっかり理解できるように教えようと努め、良い点を取ってほしいと願う。

教師は、「ここがテストに出るぞ」とわざわざ教えてくれることもある。そうやって子供たちに点を稼がせようとしているのだ。谷川氏も述べているように、実のところ、平均点を気にしているのは子供たちではなく教師のほう、というわけだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国半導体メーカー、26年に生産量拡大へ 脱エヌビ

ビジネス

米国株式市場=続伸、S&P最高値 エヌビディア決算

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇維持も伸び悩み、今後の経済指

ビジネス

エヌビディア、今期売上高見通しが予想上回る 5─7
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 2
    「どんな知能してるんだ」「自分の家かよ...」屋内に侵入してきたクマが見せた「目を疑う行動」にネット戦慄
  • 3
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪悪感も中毒も断ち切る「2つの習慣」
  • 4
    【クイズ】1位はアメリカ...稼働中の「原子力発電所…
  • 5
    「ガソリンスタンドに行列」...ウクライナの反撃が「…
  • 6
    「1日1万歩」より効く!? 海外SNSで話題、日本発・新…
  • 7
    イタリアの「オーバーツーリズム」が止まらない...草…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    「美しく、恐ろしい...」アメリカを襲った大型ハリケ…
  • 10
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 3
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 4
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    脳をハイジャックする「10の超加工食品」とは?...罪…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中