アベノミクスの「生みの親」が説く、高市政権が取るべき経済政策...「安倍時代とは状況が異なる」

SANAENOMICS AND ABENOMICS

2025年10月31日(金)15時10分
浜田宏一(元内閣官房参与、米エール大学名誉教授)

現時点では、事態が変わってインフレが日本経済の最大の難問となっている。麻生氏の景気への慎重な姿勢や鈴木俊一幹事長の財政健全化重視の考え方が、かえって日本経済を健全な発展に導く安全弁となるかもしれない。

円高を望む? トランプ政権

歴史は繰り返す。今、ドナルド・トランプ米大統領は相互関税によってアメリカの経常収支を改善しようとしている。手段は関税であるが、ニクソン・ショックの際もプラザ合意の際も、アメリカの目的は自国の経常収支だった。そうすると、円が今のように安すぎるのはアメリカにとって望ましくない(スコット・ベッセント米財務長官の最近のコメントにもそのようなニュアンスが感じられた)。現在は金融引き締めを、という私の処方箋からすれば、それも短期的には好都合である。


日本の伝統や防衛を重要視する政治スタイルの高市首相は、トランプ大統領とうまく意思疎通すると想像できる。日本国民のために最大の友好国であるアメリカと仲良くすることは望ましい。しかしながら、将来の日本の国益、世界の福祉のための政治を高市氏が行うためには、同時にトランプ氏が人権をほとんど無視し、自分の言うことを全面的に聞く共和党多数の連邦議会と寛容な最高裁に守られている大統領であることも忘れないでいただきたい。

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