欧州評議会、ウクライナ損害賠償へ新組織 創設案に34カ国署名
写真はウクライナのゼレンスキー大統領と話す欧州評議会のベルセ事務総長。12月16日、オランダ・ハーグで撮影。REUTERS/Piroschka van de Wouw
[ハーグ 16日 ロイター] - 欧州評議会は16日、オランダのハーグで会合を開き、ロシアの攻撃と戦争犯罪によるウクライナ側の損害の賠償に向けた「国際請求委員会」の創設に向けた条約案に34カ国が署名した。十分な資金を確保した上で、少なくとも25カ国が批准すれば発効する。
欧州評議会が2023年に設立した、請求を審査して個別に補償額を決める「ウクライナ損害登録機関」の機能を引き継ぐ予定。損害登録機関には、ウクライナの個人や団体からこれまで8万6000件以上が提出されている。オランダのファン・ウィール外相は、最終的にロシアが払うべき賠償を認定することが狙いだと説明した。
草案によると、損害賠償の対象となるのはロシアによる国際法に違反した行為で、被害を受けた個人や企業、ウクライナ政府が提出できる。ただ、損害賠償の支払い方法の詳細はまだ確定していない。欧州連合(EU)が凍結したロシア資産を活用しながら、加盟国の拠出によって補填する案が検討されている。さらに、トランプ米政権による和平案の内容次第では、戦闘に関連した残虐行為が賠償対象から外れる可能性もある。
ウクライナのゼレンスキー大統領は署名前、あらゆるロシアの戦争犯罪の責任者に結果をもたらすことが必要で「そこから真の平和への道が始まる」とし、「ロシアに取引させたり、殺人を止めさせたりするだけでは不十分だ。世界にはルールがあることを認めさせる必要がある」と強調した。
世界銀行は今後10年間のウクライナ復興費用を5240億ドル(4470億ユーロ)と試算している。推計は24年末までのもので、今年に入って激化した無人機やミサイルによるインフラを標的とした攻撃の被害額は含まれていない。





