「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談

アフリカ事業の魅力と難しさ、現場で実感する手応えを語り合ったJBIC鉱物資源部のオタイベ ジェニファー舞、パリ駐在員事務所の森岡隼也と平戸 瞳(左から)
<8月にTICAD 9(第9回アフリカ開発会議)も開催され、日本でアフリカへの関心が高まっている。日本の政策金融機関、JBICのアフリカに深く携わる部署で働く3人が本音を語り合った>
※本記事は『JBIC Today』2025年8月号「アフリカ 多様性と可能性の大陸」特集の1記事です。
JBICには「アフリカで仕事がしたい」という強い情熱を胸に、困難にもひるまず働く若手職員たちがいる。彼らの魂を揺さぶる何かが、アフリカにはあるのかもしれない――。
今回登場するのは、フランス語圏アフリカを担当するパリ駐在員事務所の森岡隼也と平戸 瞳、そしてアフリカ向け案件を担当する鉱物資源部のオタイベ ジェニファー舞の3人。バックグラウンドや役割も異なる彼らに、アフリカ案件の魅力や難しさ、そして現場で実感する手応えについて率直に語り合ってもらった。
森岡 私は学生時代からずっとアフリカに関心があり、大学でもコンゴ民主共和国やザンビアの政治・ガバナンスについて研究していました。JBICを志望したのも、「アフリカに関わる仕事がしたい」という思いがあったからです。
平戸 私がアフリカに関心を抱いたのは、学生時代に父とモロッコを旅したことがきっかけでした。学んだ異言語をツールに自分の知らない世界を新たに切り拓いていく感覚に魅了され「フランス語を活用してアフリカに関わる仕事がしたい」と考えるようになったことが、JBICを志す原点になりました。
オタイべ 私はナイジェリアにルーツがあって、幼少期から「将来はアフリカにビジネス面で貢献できる仕事がしたい」と思ってきました。これがJBICを志望するきっかけとなり、今はアフリカの案件を幅広く担当しています。そうした思いが実際の仕事として形になっていると実感しています。
森岡 私が入行した6年前はアフリカへのイメージも「治安が悪い」というようなネガティブなものがまだ先立つ印象でしたが、直近は「潜在性のアフリカ」というポジティブ視点で入行を志す人が増えていると思います。
平戸 そうなんです。私もアルジェリアに出張する前は、メディアなどで見聞きする限りの情報しかなくて、正直「少し怖い国」という先入観を持っていたところがありました。でも実際に足を運んでみると、首都アルジェの街並みは整然としていて、治安面での不安を覚えるような場面もほとんどありませんでした。現地の政府関係者と対話してみると、国策にも一貫性があり、自国で自国流に国を発展させようという気概も強く感じられました。
オタイべ 私は幼少期からナイジェリアへ渡航していたこともあり、アフリカ特有の煩雑な雰囲気といった現地のリアルな様子を見てきたため、実務に入る際にもある程度の覚悟はしていました。それでも現地のビジネスパートナーが面談に現れず、その後もなかなかコンタクトが取れない状況が続くなど、想定外の出来事に苦戦する場面がありました。