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焦点:米国債はスティープ化進行か、ウォーシュ体制下で資産圧縮観測

2026年02月04日(水)12時34分

写真はケビン・ウォーシュ氏。ニューヨークで2017年5月撮影。REUTERS/Brendan Mcdermid

Gertrude Chavez-Dreyfuss

[ニュ‍ーヨーク 3日 ロイター] - 米金融市場では、元米連邦準備理事会(FRB)理事のケビン・ウ‌ォーシュ氏が次期FRB議長に就任すれば、米国債は利回りが上昇し、イールドカーブがスティープ化(急勾配化)するとの見方が強まっている。ウォーシュ氏はFRBのバランスシートを縮小しつつ、利下げを求めていくと予想されているためだ。

FRBは現在約6兆5900億ドルに達しているバランスシートを大幅に縮小すべき‌だ、というウォーシュ氏の主張は、これまで市場を実質的​に支えてきた政府による国債需要が引き揚げられることを意味する。これは、FRB行が市場に流動性を供給しなくなるため、金融環境を引き締める動きとなる。

FRBによる債券の再投資や購入が減れば、市場に出回る米国債の供給量が増加し、通常は長期の利回りを押し上げてイールドカーブをスティープ化させる。

ノーススター・インベストメント・マネジメント(シカゴ)のエリック・キュービー最高投資責任者は「バランスシート縮小の主要な結果として、金融危機後の介入が行われる以前に歴史的にそうであったように、イールド‌カーブは通常の形である右肩上がり(正の傾き)に近づくだろう」と述べた。

イールドカーブは、短期金利と長期金利の差で、経済見通しを測る重要な指標だが、投資家がインフレや財政赤字の拡大をより懸念するようになるとしばしばスティープ化する。長期金利が上がれば、住宅ローン、社債、レバレッジドローン、株式の資金調達など、経済全体の借入コストも直接影響を受け、いずれは上昇する。

同時に、ウォーシュ体制の下、短期金利は抑制的な水準にとどまると予想されており、そのためイールドカーブの勾配は一段と大きくなりそうだ。ウォーシュ氏は2006―11年のFRB理事在任時はタカ派として知られていたが、最近はよりハト派寄りの姿勢を示し、トランプ大統領が期待する短期的な利下げに歩調を合わせている。

米国債のイールドカーブはトランプ氏がウォーシュ氏を次期FRB議長に指名する前からスティープ化し、長期の利回りが短期の利回りを上回る状態になっていた。

米国債の2年物と10年物の利回り格差は、2日には72.70ベーシスポイント(bp)となり、トランプ氏が相互関税を発表した「解放の日」から1週間が経過した25年4月9日以来の水準​に拡大した。

人工知能(AI)によってもたらされる生産性向上は全体としてディスインフレ効果を持ち、FRBが金融緩和を行う余地を与え⁠るというのがウォーシュ氏の主張だ。

米金利先物市場は約25bpの利下げが年内に2回と織り込んでおり、最初の利下げは6月16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で決まると予想されている。

しかしアナ‍リストは、FRBのバランスシート縮小と、トランプ政権が求める長期金利の低下を実現することとの間に緊張関係があると分析する。バランスシートが縮小し、長期金利が高止まりした場合、金利の先行きの不確実性を映す「期間プレミアム」はしつこく残るか、さらに上昇する可能性があり、そのために従来型の利下げによって金融環境を緩和しようとする取り組みが複雑になりかねない。

ブリン・モーア・トラスト(ペンシルベニア州)の債券部門ディレクター、ジム・バーンズ氏は「非常に運営するのが難しい政策だ。利下げのようなハト派的政策の一方で、バランスシート‍縮小のように金利を押し上げる政策を同時に使う。両者が進む方向は逆だ。利下げしながら同時にバランスシートを縮小したいわけだが、‍それをどう実‌行するのか。そこが問題になる」と指摘した。

<技術的課題と金利の変動性>

ニューヨークの短期金融市場調査会社ライトソンICAPのチーフエ‍コノミスト、ルー・クランダル氏は、FRBの資産を減らすいかなる計画も、特に銀行の流動性規制に関して多くの複雑な技術的問題を伴うことから、時間がかかると述べた。

市場参加者の間では、金利変動が大きくなるとの見方も広がっている。TDセキュリティーズ(ニューヨーク)の米国マクロ戦略責任者、オスカー・ムニョス氏によると、過去にFRBを公然と批判してきた経緯から、ウォーシュ氏はFRB議長として物議を醸しかねないと見る向きもあり、そうした状況はFOMCの一部メンバーから距離を置かれる可能性もあるという。

「世界金融危機時にFRBの一員であった当時は非常にタカ派的な姿勢を唱えていたにもかかわらず、そ⁠の後、政策の優先順位を180度転換した点を考えると、ウォーシュ氏は見極めが難しい人物でもある」と、ムニョス氏は付け加えた。

それでも債券市場の参加者は、ウォーシュ氏がいずれタカ派の本能に立ち返ると見ており、それが金利の変動性をさらに高めると予想している。

BCA(モントリ⁠オール)のアソシエートストラテジスト、フェリックスアントワーヌ・ベジナポワリ‍エ氏は、ウォーシュ氏はAIによる生産性向上を理由に「将来のインフレを心配する必要はない」と述べているが、生産性の上昇はフェデラルファンド(FF)金利の中立水準の上昇、つまり利下げ余地の縮小を意味すると指摘した。

米国債の予想変動率を示す「MOVE指数」はここ数カ月低下し、ウォーシュ氏のFRB議長就任をまだ織り込んでいない。

カーネギー・インベストメント・​カウンセル(コネティカット州)のポートフォリオマネジャー、ベンジャミン・コナード氏は「ウォーシュ氏が議長としてどのように振る舞うかは、時間がたたなければ分からない。理事在任中はインフレに対してタカ派だった」と振り返った。その上で、「最近になって姿勢を変えているが、指名を確保するためだけだと皮肉を言う人もいるだろう。金利は多数決で決まるため、ウォーシュ氏1人で利下げできるわけではない。FRB全体への信認が維持されている限り、今回の指名で投資スタンスを変える必要はないだろう」と述べた。

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