問題が起きた時、「すぐに対応する」が会社を危うくするワケ...組織を強くする「ネガティブ」の力とは

2025年7月25日(金)17時42分
flier編集部

──両利きの経営では探索と深化の両方が必要だといわれますが、「探索」の時間が取れないのですね。

その通りです。人材育成も同じで、後任を育てるには時間がかかります。でも、そこに投資しないと、組織として持続できないんですよね。それなのに、「自分でやるほうが早い」と、マネージャーやベテラン社員が何もかも抱えてしまう。すると、チームとして成果を出す力は育たないまま。結果的に組織の中長期的なコンディションが悪化してしまうのです。


このように、「ネガティブ・ケイパビリティ欠乏症」がさまざまな組織で発生しています。

本書では、「成果と変化のマトリクス」を紹介しました。私には、世界が「第I象限にいきすぎていないか?」という問いがあります。短期的な成果を求め、そこに直結する取り組みだけが評価される。これが過度なKPI管理主義や効率主義を助長してきました。

イノベーションは本来、異なるものの「新結合」から生まれるもの。目先の成果だけを求めて、余白をなくすと、そうした化学反応の芽を摘んでしまうのです。

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沢渡さんの書籍より「成果と変化のマトリクス」

健全に成長する組織は「自己肯定」と「自己否定」の両輪を回す

──都市部と地方の格差もあるのでしょうか。

はい。東京のような都市部は情報や人が多く、変化が生まれやすい環境です。選択肢も多く、人と違う行動が受け入れられやすい。一方、地方は同調圧力が強く、変化への抵抗も大きい。選択肢の少なさから、「合わない」と感じてもすぐに他へ移れず、それが若者や女性の流出につながっています。

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